「ほら、いくぞ」

 手を差し出すと、チビ助は一瞬目が見開いて、おずおずとつかんできた。

「今日から…、きちんと帰りは送ってやるから」

 言ったと同時に歩き出す。


 つながる指先の向こうに小さな声がした。


「はい…」





 ちっぽけなオレのプライドと意地。

 それを飛び越えてみたら、一番ほしかった笑顔がそこにあった。