か、体で返すって……。

あたしはいろんな想像をした。



ご飯をつくったり…?

お部屋の掃除したり…?

少しコーヒーの匂いのする洋服を洗濯しちゃったり…っ!?



 まるでお嫁さんみたい…。

甘い甘い妄想に酔ってしまう前に、太一さんに答えた。


「は、はいっ!ぜひ!!」

 あたしはさっきまでの緊張も忘れて、大きな声で元気な返事した。

なのに、タイチさんはもっと驚いて、うさぎのカップの時より断然顔を赤くさせていた。


「意味わかってんのかよ……」

 ため息交じりのタイチさんの小さな声は、あたしには最後まで聞き取れなくて。


 うなだれたタイチさんは、ぽかんとしたあたしに顎で外を指す。

もう帰っていいよ、ってこと…かな。


「あ、あの!ご…ご馳走さまでした!」

 タイチさんとヒゲのおじさんに元気よく一礼して、あたしは店を出た。




 スキップしてしまいそうなくらい、あたしの心は浮かれていたんだ。