フォーチュンクッキー

 やけに心臓が高鳴る。



 怖い。

でも、動けない。


 もどかしさが更にあたしの体の自由を奪っていく。




「あなたはっ、一体、未来のなんなんですかっ!」



 呼ばれた名前に、ピシリと体が凍てついた。



 怒鳴る雛太は初めてで。

いつもぶっきらぼうに、口数も少なくって、それでも優しい雛太。



 そんな雛太が変わってしまった。

変えてしまったのは、間違いなくあたしだ。


「どうしよう…」


 暑いのに、さらに瞼まで熱くなってきた。

怜さんの広いTシャツの裾を、いつの間にかあたしは黙って握ってしまっていた。



「…雛太くん」


 太一さんの声が、まるですぐそこにあるように聞こえる。