フォーチュンクッキー

 太陽が昇るにつれて比例するように気温も上がり、おかげで湿気も増えてあたしのクセ毛はますますハネる一方。

杏ちゃんみたいなまっすぐな髪がうらやましい。


 じっとりと滲む汗も、時々ノートや課題のプリントに落ちてしまうのが恥ずかしい。


「喫茶店いこうかな~?」


 頬杖をついて一人呟いた。

 昨日の今日で、張り切って顔を合わせられるほどあたしは強くなんてない。

それこそ勉強なんてできる自信がないし。


 不器用ながらなんとかまわしたペンを汗で滑らせる。


なんとなく、悔しいんだよね。



 こんな時、太一さんなら…。

ばかだなぁって笑ってくれるんだろうか?


 すでに思い描いてしまった太一さんの笑顔を必死に振り払うように、あたしはブンブン首を振った。



 いつだって、どんな時だって。

 今のあたしがつながる先は、太一さんになってしまってる。


 会いたくないわけじゃない。

 昨日の意味を知るのが怖いんだ。


「だけどさ…」


 いつもの意地悪な顔であたしのこと見てくれたら、もう一度、がんばれるかもしれない。


 この暑さのせいにして。


「よしっ」


 意気込んでお気に入りの白いトーとバッグにあらゆる宿題一式を詰め込んだ。

お父さんにメモを残して、はきなれたスニーカーに足を通す。


 がんばれ、未来!


 両手をぐっと握り、扉に鍵をかけた。