折角収まってきた汗が、再び噴出すようだ。
オレは学問の神様がいるっていわれる小さな神社の近くまできていた。
小さな下駄の音はこのあたりで聞こえなくなったから、まだ二人は遠くないはずだ。
頬を流れる熱い汗を手の甲で拭う。
「どこいったんだよ…」
キョロキョロと暗闇のなかを目を凝らしていた。
「はぁ、はあっ…どうしたの…、雛太?」
境内のほうから聞きなれた声。
振り向いて長い階段を見上げた。
あの下駄でチビ助がコレを上ったのかと思うと、なんだか無性に腹が立った。
「ったく、どいつもこいつも…っ!」
棒になりそうな足をひたすら動かして、目指すは頂上。
最近走ってばかりで、心臓が痛い。
息も絶え絶えで、走るっていうよりすでに歩きかけている。
それでも立ち止まることだけはできなかった。
かすかに聞こえてくる、震える声。
「雛太…?」
あいつを泣かせたくない。
「オレ、もう嫌なんだ」
真っ赤なリンゴみたいな顔とか、カフェオレを飲んで幸せそうな笑顔とか……
見せたくない。
オレは学問の神様がいるっていわれる小さな神社の近くまできていた。
小さな下駄の音はこのあたりで聞こえなくなったから、まだ二人は遠くないはずだ。
頬を流れる熱い汗を手の甲で拭う。
「どこいったんだよ…」
キョロキョロと暗闇のなかを目を凝らしていた。
「はぁ、はあっ…どうしたの…、雛太?」
境内のほうから聞きなれた声。
振り向いて長い階段を見上げた。
あの下駄でチビ助がコレを上ったのかと思うと、なんだか無性に腹が立った。
「ったく、どいつもこいつも…っ!」
棒になりそうな足をひたすら動かして、目指すは頂上。
最近走ってばかりで、心臓が痛い。
息も絶え絶えで、走るっていうよりすでに歩きかけている。
それでも立ち止まることだけはできなかった。
かすかに聞こえてくる、震える声。
「雛太…?」
あいつを泣かせたくない。
「オレ、もう嫌なんだ」
真っ赤なリンゴみたいな顔とか、カフェオレを飲んで幸せそうな笑顔とか……
見せたくない。


