フォーチュンクッキー

 笑い転げてるオレにふわりと笑って、サトはカーテンを広げる。

「…じゃあ怜たちのとこいってくるね」

 前とはだいぶ変わってしまったオレたち。

でも、確かに変わらないものが芽生え始めているはずだ。


 サトの後姿を見送ることが、もう苦しくない。


「あ、そうだ」

 保健室の入り口で、何かを思い出したようにサトは見つめてきた。


「恋してる太一もなかなかおもしろいよ?」


「……はい?」

 今、確実に顔ひきつってる。



 どうにも最近のサトは怜に似てきている。

聞き返したオレには答えず笑顔だけ残して去っていった。


 まったく、なんだよ。みんなして。


 そんな言い方、まるで。




 まるで…。



 心臓が波打つ。

これはただの動揺だよ。


 必死に言い聞かせても、高鳴ることをやめてくれない。


「だぁーっ!」


 ぐしゃぐしゃに髪をかきむしって、立てた膝に顔を埋めた。