フォーチュンクッキー

 サトの手を急いで振り払う。

勢いよく退けたせいか、サトが掴んでいた頬の肉も一緒に引っ張られてヒリヒリした。



 ちきしょう、少しでもカワイイと思ったオレが間違ってた!!



 オレの想いに後悔が支配した。

そんなオレをよそに、サトはポツリと呟く。


「あたしと怜、あじさい祭りにいったの」


「は?」


 唐突の話題にオレの頭は追いつかない。

ただでさえぶつけたばかりだというのに。



「そしたら…太一とあの子が手をつないでて、抑えてきたものが壊れちゃったんだ」


 懐かしむかのように天井を見つめるサト。



しぶしぶなんとかあの日のことを思い出し始める。


 そういや、そんなこともしたっけ?

言われて気づくけど、実は結構恥ずかしいことをしてしまってたんだ。


 照れを隠すようにぽりぽりと頬をかく。


でも、どうしていきなりサトが思いをぶつけてきたのかとか、怜の気まずそうな表情とか。

一気にオレを納得させていった。



「太一…」

 ベッドから腰を上げて、少し短いスカートが揺れた。

細くて白い太ももに、シーツの線がうっすらついてしまっていて、オレの視線が怪しくなる前にサトを見上げた。


 振り返ったまぶしい笑顔。