フォーチュンクッキー

 落としていた視線をあげると、サトはきょとんとしていた。


「怜たちなら大丈夫よ」

 その笑顔でホッとする。


 きっと怜たちのことで気落ちしてたんだって思われてた。

少しはそれも入ってるけど、サトのことで、とはいう必要なんかない。


 その線を先に引いたのは、紛れもないこのオレだから。


 感傷に浸っていると、思い出したようにサトが話し始めた。


「…あの子、おかしな子ね?」


 なんのことだ?


 不思議がっているのが伝わったのか、すっと手を伸ばしてオレの頬に触れた。

ドキンと心臓が飛び跳ねる。


 少し冷たくて、細い指が確かめるようになぞる。


 お、落ち着け…っ!


 自分と戦ってみるものの、その感触をついばんでしまう情けないオレもいる。


オレだって健全な男子高生なんだよ。



「…プッ」

 そんなオレの反応を楽しむかのようにサトは笑う。

反論しようと口を開けたら、ムニっと頬を引っ張られた。


「やーい、太一のローリコ~ン!」


 意地悪っぽく口端を吊り上げていた。

 この顔、怜にそっくりだ。


「んな…っ」