フォーチュンクッキー

「…サト」

心配げにやってきたのは、サトだった。


「大丈夫?」

 ベッドの横に腰かけたサトはオレを覗き込んできた。


 相変わらずかわいいなぁ。

なんて、不謹慎にもオレは思ってしまった。


 『過去にした』なんてカッコイイこと言ってるけど、実際好きだった人を目の前にしたら…。


少なからず動揺だってするさ。



「太一が起きたって怜たちに報告してくるね?」

 緩いサトの笑顔にオレははっとした。


 そうだ、試合!

さっき開かれたカーテンの隙間から時計を除くと、3時を過ぎたところだった。


「え…?」


 呆然としてるオレの隣でため息が聞こえた。


「太一ったら頭打って倒れたのよ?お昼もまたいで、今の今までね」


 怜との距離。

それを埋めたくって、バスケ部の手伝いを引き受けたんだ。


 何気無い怜たちとの会話でどれだけ救われてたかってわかった。


 ずっと二人と友達でいたくて、なんて。

これはオレのエゴだ。


 特に、サトは。