「え?」

 突拍子もない言葉に、思わず顔をあげた。



「一生懸命だもんね」


 意味ありげに笑いながら、腰を上げた怜。



「な、なんのことだよ」



 分かるような分からないような。

…いや、もしかしたら分かってるのかもしれないけど、気づきたくない自分もいて。



 タオルの端っこを両手でぎゅっと握った。



「長谷川せ~んぱ~い!」

 オレたちの間を割るようにひょっこり顔出したのは、あのふわふわ娘。


「なんだよ、松永」


 面倒くさそうに怜は顔を引きつらせていた。

彼女はそんなことも気にしないように、にっこり笑ってた。


 オレとしてはかなり助かったんだけど。


「どうぞ~、平山先輩も」

 そういってスポーツドリンクを手渡してくれた。


「ありがと」


 オレは素直に受け取ると、彼女は勝ち誇ったように目を細めていた。

視線の先には、体だけは一丁前にでかい怜。


「……悪いな」

 小さくつぶやいて乱暴に受取、それを一気に飲み干す。