フォーチュンクッキー

 ああ、この人だったんだ。

ピンときちゃった。


 胸の奥がちくちくした。

そんなあたしの目を覚ますように、ピーッと笛の音が鳴り響く。



 汗もぐっしょりで、息を切らしてるのに太一さんたちは楽しそうだった。


バスケができるわけじゃないけど、なんとなく分かる気がした。



 怜さんを筆頭にコートに立っていた五人はベンチに戻ってきて、顧問らしき男の先生に話を聞いてた。

その軽いミーティングを終えると、振り向いた太一さんとばちっと目があってしまった。


 隣の杏ちゃんもそれに気づいたのか、声にならない声をあげていた。


 言いたいことがあったはずなのにうまく舌が回らなくて、多分あたしは金魚みたいになってた。



 おっきなタオルで汗をふく太一さんは、喫茶店のお兄さんじゃない。


いつも遠く感じる太一さんが、このときだけはあたしたちと変わらなかった。

でも、こんな姿が本当なのかもしれない。



 そう思ったら、三歳っていう年の差が小さいようで大きい気がした。



 もっと、いろんな太一さんがみたい。


 そう思うのはあたしのわがままなのかな?