三時限目の終わりを告げるチャイムが鳴ると同時にガラリと教室の扉をあける。

もちろんクラス中の注目の的だ。


 登校するたびに視線を感じてたオレは慣れていたけど、後ろの彼女はこんなこと滅多にないだろう。


 数学担当の教師が驚いていた。


「仲がいいのはいいけど、きちんと授業出ろよ?」

 さっと荷物を持ってオレたちを横切って出て行った。


「すいません」

 物分りのいい先生だとほっと胸をなでおろし、軽くお辞儀をしてオレたちは教室の中に入る。


 なんとなくざわつくクラスメートはどんな風に思っているのだろうか。

まあ、顔を見る限りいい風に捕らえてはいなさそうだ。


 どうにか怜とサトの名誉だけは守ってやりたい。



 そもそも、誰が悪いとかきっと誰もきめられないんだから。




 テストが終わったからオレの前に怜がいるわけではないけど、そんな離れた席ではない。

チラリと盗み見すると、怜はただ窓の外をぼーっとみてた。


 廊下側の最前列が席のサトは、黙々と次の授業の準備を始めてた。

なんとか頭が回っているようだとわかると、オレもそれに習った。