遡ること3年前.

高校2年生の夏祭り前だった。


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7月1日。夏本番に近づく暑さの中、私は一人で神社に来ていた。


小さい頃からこの地元の神社が好きで、おじいちゃんとよく通っていた。


おじいちゃんが毎月欠かさなかった朔日参り(ついたちまいり)。


でも中3の時、おじいちゃんが亡くなってからは毎月一人でお参りに来ている。今日がその日だった。


学校がある日もあるからいつも来る時間帯はバラバラだけど、今日は暑くなると思って、休みだけど早起きして家を出てきた。


スマホの時間を見ると、8時になったところだった。


緑に囲まれた200m程ある参道を歩いて来て、大きな鳥居をくぐると広い境内に入った。


拝殿までは綺麗で平らな石畳が続いている。


ここに来ると、空気が良くていつも気持ちが洗われた気分になる。


私は賽銭箱の前に立ち、お賽銭を入れようと五円玉を優しく投げた。


コツンッ


わっ!


力加減を間違ったか、惜しくも賽銭箱の手前の端に当たって弾かれ自分の後ろに飛んでいった。