私 ホームヘルパーです。

 百合子と並んで夕食を作っております。 テレビは面白くないからたまにネットをチラチラ見ながら、、、。
「え?」 百合子が不思議そうな声を上げたので気になって覗いてみると、、、。
 『nさんとtさんが不倫?』
 「ほっときなさい。 この人たちは不倫でも何でもやりたい放題にやらかして謝ればいいって思ってる蛆虫みたいな人たちなんだから。」 「そうなの? でもnさんってドラマ出てたよね?」
「仕事は仕事。 不倫は不倫。 見境が付かなくなっちゃうくらいにやばいのよ この人たち。」 「何で?」
「考えてみてよ。 ドラマ一本出るだけでも相当に多額のギャラガ出るのよ。 大金を持たされたら子供でもおかしくなるわよ。」 「そういえばさあ、何年か前、あっちでこっちで騒がれてたよねえ?」
「ああ、ガーシーね。 あの人だってやばいんだからくっ付きたくないわよ。 まああの人の情報にはていひょうが有ったみたいだけどね。」 「そうなの?」
「まあいいじゃない。 女優が何をしようと、俳優がどうなろうと私たちにはなーーーーーーんも関係無いから。」
 そうだよねえ。 女優なんて仕事でも抱かれるんだから仕事と現実の区別さえ付かなくなるわよねえ。 それで身を滅ぼそうがどうなろうが私たちには関係無いわよ。
映画には必ずと言っていいほどベッドシーンが入ってる。 「これは誰でも見たいだろう。」みたいにね。
 そんなさあ、人気女優だからってセックスまで見たくないわよ。 汚らわしい。
売れれば売れるほど億の金を貯めこんで毎晩遊んで暮らしてるんでしょう? そうなっちまったら庶民には戻りたくないわよねえ?
 だから問題が起きると事務所が火消しに走り回る。 本人は嘘まで吐いて逃げようとする。
財産全部取り上げて裸一貫で放り出す優紀すら無い。 それでいいの?
 あんな浮世の世界でも真面目にやってる人たちが可哀そうよねえ。 女優を見たら不倫虫と思え。
芸能界の女は体で稼いでるのよ。 見たくないわよ あんな虫。

 「よし。 出来たぞ。」 今晩は肉じゃがと吸い物です。
二人で食べながらニュースを見ていたら、「東京メトロで切り付け、、、」だって。
 本当に日本がおかしくなってる。 電車も改札口に金属探知機を置いたほうがいいわよ。
んでさあ手荷物検査もやらなきゃいけないかもね。 何が悲しくて切り付けるわけ?
 堂々とナイフを持って電車に乗れるっていうのもおかしいわよね。 43才だとか言ってたなあ。
私より若いじゃない。 ダメだよ そんなことしちゃ、、、。
 いよいよ日本も終わりかなあ? 友達が言ってたわ。
 「全盲でさあ一人暮らしだから大変じゃん。 それでね、役所に避難情報が出た時はどうしたらいいだろうねえ?って聞いてみたんだよ。」 「そしたら?」
「あなたヘルパーを使ってるでしょう? ヘルパーさんと避難計画を作ってくれたら役所でも支援するよ。って言ってきたんだ。」 「アホか。」
「そうだよねえ。 ヘルパーさんにも家族が居るんだからさあ無理だって言われたよ。 何が悲しくて家族を放り出して利用者の避難を助けなきゃいけないのさ?って。」 「分かるわ。」
 この世の中、家族を犠牲にして他人を救える人なんて居るのかなあ? スーパーマンでもない限りは無理よねえ。
避難所に送り届けて終わりじゃないのよ。 そこからが大変なの。
 あのアホがミサイルを撃ち込んできた時だって家族を逃がすのが精一杯よね たぶん。 そこでさあ「いつも使ってもらってるから」って利用者さんの家に行ってごらんなさい。
家族はどうするのよ? 「俺の代わりに死んでくれ。」って言うわけ?
そうもいかないでしょう? 役所は悉く体裁だけ良くて中身がまるで無いのよね。
社会福祉法に決められてるからってそれ以上のことをしようとはしない。
 あのさあ、そんなんじゃあ東日本大震災の時に津波から住民を守った遠藤さんに笑われるわよ。
津波が目の前に来ても防災無線を放さなかったんだからね。 それくらいの度胸と勇気があなたに有りますか?
 「役所は個別対応できませんから。」って涼しい顔して言ってたらしいけどヘルパーだって個別対応は無理よ。
何も分かってないのねえ 役所の人たちって。
 頭が疲れてくるから文句を言うのはこれくらいにしてっと、、、。 「お母さーん、お風呂ーーーーー。」
「そんなねえ、叫ばなくても聞こえてるわよ。」 「寝てるかと思って、、、、。」
「あのねえ、お父さんじゃないんだから考えなさいよ ちっとは。」 「ちっとはっていっつも考えてるよ 私だって。」
 「それでお風呂がどうしたの?」 「沸いたから一緒に入ろうと思って。」
「え? あんたが沸かしたの?」 「そうよーーーー。 いっつもお母さんばかりやってるから手伝おうと思って。」
 「偉いなあ。 成長したなあ、百合子ちゃん。」 私は思わず泣きながら抱いてしまったわ。
百合子も少しずつ大人に成っていくのねえ? なんか寂しいわ。
 「私ねえ、ずーーーーーーーーっとお母さんと一緒に居る。」 「お父さんは?」
「うーーーん、老人ホームに入れてあげるわ。」 「グ、、、。」
「なあに? 悪かった?」 「いやいや、あんまりにも正直に答えるもんだから、、、。」
「お父さんが頑張ってくれてたら老人ホームなんかに入れないんだけどなあ。」 「たぶん、今から言っても無理よ。 あの人は。」
「そうだねえ。」 そう言いながら百合子は私の胸に顔を埋めるのでした。
 あーんまた感じちゃうじゃないの。 どうしてくれるのさ?
ってなわけで今夜も娘にムラムラしながらお風呂に入るんですよ。 「背中流してあげるね。」
洗面器を持って百合子が私の背中を流してくれてます。 なんかいいなあ、この感じ。
 ポーっとしていると百合子が先に浴槽に飛び込みました。 (後は自分でやれってことね?)
百合子が天井を見上げているのでその間に体を洗ってしまいましょうか。 それにしても静かねえ。

 最近、YouTubeを見ていると「ひとり親家庭の支援を、、、」って呼び掛ける広告をよく見掛ける様になった。
趣旨は分かるわよ。 支援したいなって私も思う。
でも気を付けてね。 中には変なのが居るから。
 民間団体は特に情報が少なかったりするから見極めるのが大変よ。 慈善団体だって全部が全部、まともじゃないんだからね。
中にはコソ泥みたいなのも居るから気を付けてね。 「助けて!」って言われたら助けたくなるんだけどさ。
 国のほうでも認めてくれてる団体ならおよその間違いは無いと思うけど、認証団体でも変なのは居るからね。
出来ればさあ、直接何かの形で支援できればいいんだけどなあ。 回り回って他のやつらが使ってるんじゃあ話にならないからさ。
 でもね、個人でそれをやると「あいつらは出来てる。」とか「立場が有るから動いてるんだ。」とか変なことを言い出す連中がうるさいのよねえ。
私だってさあ炊き出しくらいしてあげたいわよ。 でもなあ、、、。