私 ホームヘルパーです。

 「今夜はなあに?」 「何でしょうねえ?」
「教えてくれないの? ひどーーーーーーい。」 高校生の百合子は私の背中にしがみついて拗ねてる。
「いいじゃない。 たまには、、、。」 「たまにはっていつもよねえ?」
「けっこう教えてるじゃない。 いいでしょう?」 「私の嫌いな物は作らないでね。」
「嫌いな物なんて有ったっけ?」 「うわー、意地悪。」
 そんなこんなで百合子と話しながら夕食を作ってます。 そういえば百合子って部活やってないんだよなあ。
私は、、、うん陸上だった。 走ったり飛んだりしてたのよ。
 これでもさあ「未来の幅跳びのエースだ。」って言われてたんだ。 幅跳びのエースって何なんだろう?
卒業してさっさと結婚しちゃったから夢は消えちゃったけどねえ。「笑い」
 でもさあ幅跳びって意外と難しいのよねえ。 勢いが付き過ぎるとそのまま前方回転しちゃったりするし、、、。
足を前に出し過ぎるとお尻から着地して損するし、、、。 いやあ走り幅跳びもしばらくやってないなあ。
 考えながら料理を作っているとお尻がムズムズ、、、。 (何?)
振り返ると百合子が私のお尻を撫でてます。 「やめなさいってば、、、。」
「気持ちいいんだもん。 お母さんのお尻。」 「あのさあ、ぬいぐるみじゃないんだから、、、。」
「いいじゃない。 シナモロールみたいで、、、。」 「あたし、頭もお腹も真ん丸じゃないから。」
 なんとか逃げようとしてるんだけど、気付いたら引き倒されてましたわ。 またやっちゃったあ。
「お母さん すごーい。」 「何がよ?」
「だってだって、あんなに萌えちゃってさあ、、、。」 「しょうがないでしょう。 お父さんがお父さんなんだから。」
「可哀そうねえ。 お父さんに可愛がってもらえないなんて、、、。」 「そそそ、そうねえ。 あはは。」
 こうなったら笑ってごまかすしか無いわ。 日々の夫婦の営みは最近は無いんだからね。
まあ、いいですけどーーーーー。 高齢出産もしんどいからさあ。
 だからって百合子に萌えなくてもいいのにねえ。 ねえ、高山さん?
「アホちゃうの?」 風がそう言って笑いました。
 さてさて夕食ですが、、、。 狸はもちろん帰ってきません。
今夜も百合子と二人きり、、、。 母子家庭のほうがいいかも?
そう思ったりするわよ。 旦那は居ても居ないような感じだし。
息子君だってバイトで遅くなることも多いし。 ねえ、百合子ちゃん。
 あんまりに静かなのも怖いからパソコンを引っ張ってきてYouTubeを見ることにしました。 でもさあ気になる広告が、、、。
泡立たないシャンプーだって? 石鹸で洗えばいいしょね。
 どうでもいいけどさあ、この喋ってる女 うるさ過ぎない? いいのは分かったから黙っててくれ。
あんたが喋ると買う気が失せるわ。 可愛くないし。
宣伝ってねえ、グダグダ喋ってりゃいいってもんでもないのよ。 分かってないでしょう あんた?
 それに一本何千円もするシャンプーをわざわざネットで買うかって。
それだったらマヨネーズを頭に振って寝るわ。
 それにさあ何? 薬を飲んで痛みを止めろ?
そんなんで病気が治ったら医者なんか要らないわ。 聞いたことが有るわよ。
 「薬は病気を作り出す毒薬だ。 飲まないほうがいい。」ってね。 だからうちでは風邪薬さえ飲まないし飲ませないようにしてる。
一時的に良くなっても治ったわけじゃないんだからね。 一週間もすれば余計にひどくなってる。
そうやって肺炎をこじらせる人が多いのよ。 友達のおじさんが言ってたわ。
 「薬経の人間は信用できない。 薬屋が治せないから鍼灸師が居るんだ。」って。
そうかもしれないなあ。 病院じゃあ何も出来ないもんねえ。 パソコンの管理くらいでしょう 出来るのは?
 あれで「俺たちが医療を支えてるんだ。」って偉そうな顔をするんだから見てられないわよ。 ただのパソコンオタクじゃない。
きちんと患者さんと向き合ったことが有る先生ってどれくらい居るのかなあ? 5パーセントも居ないんじゃないかな?
 パソコンばかり見てるんじゃ医者とは言えないわよ。 データ屋さんね。
きちんと向き合ってくれる先生を見付けましょうね 皆さん。 特に大病院はデータ屋が主流なんだから信用しちゃダメよ。
 数字で病気を決めようなんてまあまあ人間も退化したものねえ。 数字で何が分かるの?
それにね、やたらと痛み止めは飲まないほうがいいわよ。 気付かないうちに悪くなってたりするんだから。
あんなのは儲けさせたい人にだけ飲ませてればいいの。 薬屋を儲けさせ経って何のメリットも無いのよ。
新しい毒薬を振り撒かれるだけ。 私たちは雑草じゃないのよ。
 いい加減、薬屋を喜ばせるような広告は止めてほしいなあ。 負の遺産だわ。

 涼子さん 自分の力量を見誤ったのね? ノリノリで社長になったはいいけれど体を壊しては何にもなりませんわよ。
だいたいねえ、タレントだとか女優だとかいう人の中で社長肌の人はそう居ないと思うんだ。
これまで仕事を選んでもらってたんでしょう? それがさあ、急に選ぶ立場になったらそりゃあ混乱するわよ。
 自分で見てたってそれがどういう仕事なのか分かる? 選び方次第では周りも迷惑するのよね。
雇われてる時にはさあ、マネージャーとかプロデューサーとかいう人たちが見極めて(これなら、、、)って仕事を回してたんでしょうから目利きが居なくなると不安よねえ。
 (何とかしなきゃ、、、)って思い詰めたんじゃないのかな? だからその辺は慣れてる人に任せたほうがいいわよ。
ある程度名前が売れてくると独立したくなるのよねえ。 それは分からんでもないわ。
でもきちんと力量を弁えなさい。 力量を知っていたら無謀な独立はしなかったはずよ。
 双極性感情障害か、、、。 高ぶったら停められないってやつ?
これを治すのは大変だぞ。 まだまだ躁鬱病のほうがいいかも。
 躁病は普段も元気だから分からないのよ。 躁鬱なら発症パターンが有るからある程度は分かるのよね。
それにしても大変なのをやっちゃったわねえ。 しーーーーーっかり休んでね。

 さてさてもう5月ですわよ 皆さん。 早いわねえ。
ついこの間、桜餅を食べたかと思ったら柏餅が出てきたわよ。 って「お前には食べ物の話しか無いのか?」って声が聞こえてきそう。
 それが過ぎると水羊羹とかスイカが美味しくなってくるのよねえ。 速く食べたい。
夕食を食べ終わってのんびりとお風呂に浸かっております。 お惚けママさんたちはあれからどうしたろうねえ?
すっかりこの辺では見なくなったわね。 またどっかで騒いでるのかなあ?
 ボーっとしていると天井から水滴が、、、。 こんなに古かったっけ?
まあねえ、いったい何年建ってるんだか分からん家だもん。 水滴くらい、、、。
 と思ったらポタポタ落ちてきた。 何これ?
「お母さん すごい雨が降ってきたわよーーー。」 驚いたように百合子が飛び込んできました。
 「雨?」 「うん。 いきなりすごいんだから。」
そういえばざあざあと音がする。 窓を開けてみたら横殴りの雨ですわーーーーー。
 ってことはさあ、雨漏りしてるってことなの? ワーーーー、嫌な家だあ。
明日、早速二も修理をしないとまずいかな? オンボロだもんなあ。
 まあその辺は狸に任せようか。 その前に屋根が落ちるじゃないよ。
家族のために、愛する私のために働いてもらいましょうね。 ねえ、卓也さん。
そうなの、狸って卓也って名前が有るのよ。 一応ね。
一応も二応も無いわよね。 ごめんなさいね。