私 ホームヘルパーです。

 ピンポーン。 仕事をしていたらチャイムが鳴りました。
「ちょっと見てきますね。」 私が玄関に出てみると、、、。
 「廃品回収です。 不要な布団などは有りませんか?」 「廃品回収? 捨てるような物は有りませんが、、、。」
「何か有るでしょう? 奥さんだったらそれくらいは分かってるんじゃないの?」 白髪頭のおじさんはしつこそう。
 「一人暮らしですからねえ。 私の物しか無いのよねえ。」 「お子さんの物とかご主人の物とか有りませんかねえ?」
「私 一人だから余計な物は無いのよ。 ごめんなさいね。」 そこまで言い切ってからドアを閉める。
 「何だったの?」 「廃品回収だって。 部屋に入れたら全部持って行かれるところでしたよ。」
「まあ怖い怖い。」 「消費生活センターに電話して訪問お断りのシールを送ってもらいましょう。」
「そんなのが有るの?」 「有るんです。 これでも入ってきたら違反行為になるんです。」
「そしたらどうなるの?」 「警察が動きます。 業者はお取り潰しですねえ。」
 でも今は遠隔地に出掛けて行って荒らせそうな家を物色してるんだそうで、、、。 大変よねえ 乗っ取り業者も。
要らない布団をって言われてもそんなそんなみんなが持ってるわけじゃないからねえ。 それにさあ布団から手を突っ込んでくるところが嫌らしいわよね。
 金目の物って言ったら警戒するから布団をって言ってくるのよ。 それで中に入れてしまうと根こそぎ持って行かれるのよねえ。
金持ちほど油断してるのよ。 馬鹿みたい。

 今だってフィッシング詐欺とかロマンス詐欺とか騒がれてるけど貧乏人が引っかかったって聞いたことが無いんだよなあ。
1000万騙されたとか、数百万取られたとか言ってるけどさあ。 取られる前に気付きなさいヨね。
どれくらい取られたら目が覚めるの?

 さあさあ夕方ですよ。 って早いなあ。
仕事を終えて我が家の夕食を作って身支度をしたらさあ出発ーーーーーー。
 百合子も連れて丸鷹へタクシーで、、、。 5分前に到着でーーーーす。
澄江さんたちは、、、、? ああ来てる来てる。
 「こんばんはーーー。」 「いらっしゃーーい。 こっちよ。」
お店に入ると澄江さんが手招きしてくれてます。 お庭から花壇が見えてるテーブルですねえ。
 澄江さんのお友達も来てるようです。 6人で賑やかーーーな夕食に、、、?
でもさあ、隣は、、、、、、、、、? あれはもしかして?
 「どうしたの?」 「いえいえ、何でもないです。」
取り敢えずは平静を装っておかないとねえ。 あのママさんは確か、、、。
 「私の声が大きいのは生まれつきなのよ。 小さくする方法を教えてよ。」って言ってたあの人じゃないかなあ? ピアスに指輪、、、そうだわ。
「さあ食べるわよ。」 澄江さんも超ご機嫌ですねえ。
 肉が焼けるいい匂いがするなあ。 子供たちはジュースを飲んでますねえ。
あれやこれやと皿に盛ってはテーブルにやってきます。 そして肉や野菜を焼いてます。
 (今夜は何事も無さそうかなあ?) 私が心配しながら辺りを見回していると、、、。
あのママさんのテーブルで、、、。 「さっきさあ、ぼくね蹴られたんだよ。」
男の子がママにそう訴えました。 「誰がやったの?」
「あの人。」 男の子が指差したのは、、、七輪を運んでいるお姉さん。
 ママさんは不気味なほどに平静を装いながらもどこか吹っ切れない様子。 (危ないなあ、、、。)
そう思いながら見ているとその店員さんがテーブルの傍を通りました。 「ちょっと待ちなさい。」
 店員さんは呼び止められて戸惑ってますねえ。 「あんた、子供の足を蹴ったでしょう? 何で謝らないの?」
「は?」 「この子が痛がってるのよ。 謝ったらどう?」
(始まったわね。) 私は肉を食べながら成り行きを見守ってます。
 「何とか言いなさいよ! 蹴ったんでしょう?」 「蹴ったつもりは有りませんけど、、、。」
「つもりって何よ? 蹴ったか蹴ってないかって聞いてるの。 蹴ったんなら謝りなさいよね。」 「蹴ってません。」
 「強情な人ねえ。 この子が蹴られたって言ってるの。 謝りなさいよ。」 「ですが、、、。」
「ですがもくそも無いでしょう? 蹴られたのは事実なの。 謝りなさいよ!」 (これじゃあダメだわ。)
 隣のテーブルで食べていたお客さんたちは食べるのを辞めて帰り始めましたね。 巻き込まれたくないもんねえ。
 「あれが騒いでた人たちなの?」 澄江さんも苦しい顔で聞いてきました。
 「あの人はリーダー格ですねえ。 特攻舞台とでも言うんでしょうかね。) 「特攻?」
「そう。 あの人が必ずトラブルを起こすんですよ。) 「そっか。 そうみたいね。」
 まだまだママさんの追撃は続いていますねえ。 「失礼ですが、店内で騒ぎ立てるのは止めてもらえませんか?」
周りの店員から聞いたのか店長が出てきました。 「あんたが店長なの? だったらこんなのを辞めさせなさいよ。)
「辞める辞めないは本人の自由ですから。) 「ふざけんじゃないわよ! うちの子が蹴られたのよ! 黙って済ませろって言うの?」
「そういう事実は有りますか?」 「この子が言ってるから事実よ。)
「じゃああの付近のカメラを確認しますから少しお待ちくださいね。) 店長はそう言うと事務所に戻って行った。
 しばらくすると放送が、、、。 「お客様にお知らせいたします。 店内での大騒ぎは極力止めていただくようにお願いいたします。
他のお客様にも店員にも迷惑を掛けますのでこちらで対処できないと判断したお客様については警察への通報も辞さない覚悟で対処いたします。
通報させていただいたお客様につきましては今後一切出入り禁止とさせていただきますのでご了承ください。)
 「何のつもりなのよ! はっきり言いなさいよ!」 またまたママさんが騒いでますねえ。
店員は聞こえない振りを決め込んで仕事をしています。 あの子は?
 男の子を見ると何とも言えない複雑な顔をしています。 「あの子、嘘吐いたのね。」
澄江さんがポツリ。 そうなんだろうなあ、、、。
 しばらくしてその一団は足音を忍ばせるように帰っていきました。 やっと平和になるわ。
「でもさあ、何だったの? あの人たちは?」 「さあねえ。 この辺にも変なのはいっぱい居ますから、、、。」
 「前にさあ聞いたことが有るわよ。」 「何?」
「七輪で炭を持ってきた時に炭が一つ飛んだんだって。」 「フムフム、、、。」
「それでね、おじさんの腕にその炭が当たったんだって。」 「へえ、それで?」
「店員を呼び付けて「俺に火傷をさせる気か!」って何時艱も怒鳴ったんだって。」 「迷惑なおじさんねえ。」
「その人の奥さんも一緒に居たらしいけど黙って見てたんだって。」 「夫婦揃って馬鹿じゃないの?」
「しょうがないわよ。 国が国なんだから。」 「それもそうね。」
 あっちもこっちも馬鹿ばかり。 やらかしておいて「ごめんなさい。」って言えばいいと思ってる。
大人が無責任だから子供まで無責任になっちゃって、、、。 どうするのよ これから?
 おまけにさあ育てられないのに産んじゃって殺す女も居るでしょう? 気に入らないとか懐かないとか言って子供を殺す男も居るでしょう?
あんたら何なのよ? 比叡山にでも籠もって修行してきなさい。
 嫌なやつには会ったけど食べたわねえ。 私も百合子も。
お腹いっぱいだわ。 明日からまたまた頑張らなきゃねえ。
 やっぱりね、元気で居るためには楽しく美味しく食べることよ。 噴火してたんじゃダメねえ。
新鮮な物を新鮮なうちに美味しく料理するの。 んでそれを美味しいうちに食べちゃうの。
冷凍して何日も保存するなんていいとは思えないわよ。 作ったらさっさと食べなきゃね。
だからフードロスが巨大な問題になるのよ。 コンビニ弁当もいいけどさあ、知恵を絞って作りなさいよ。
手抜きじゃ子供が可哀そうだわ。 親の真似しか出来なくなる。
 私の友達でね、全盲のおじさんが居るの。 その人は何処でどうやって一念発起したのか知らないけど自分で料理を作ってるわよ。
今じゃ刺身も自分で切るんだって。 負けちゃうわよ。
 でもさあ、「自分でやった方が何倍も美味い。」って言ってたわねえ。 そう思うわ。
だって売り物の弁当は平均的な味付けだから薄好みの人には濃いし、濃い好みの人には薄いのよねえ。
それにさあ在り来りのレシピしか作らないからオリジナリティーが全く無いし、、、。
作るんなら「え?」っていうメニューを出さなきゃね。 創作出来るのがオリジナルの強みよ。
 もちろん当たり外れは有るわよ。 失敗しながら美味しい物を作れるようになるの。
挑戦しなさいね そこのヤンママさんたち。