私 ホームヘルパーです。

 真夜中、なんか声が聞こえますわ。 「母ちゃん 何やってんの?」
 ボヤーっと目を覚ましますと息子君が呆れた顔で入り口に突っ立ってます。 「なあに?」
「母ちゃん 素っ裸で寝てたら風邪ひくよ。」 「え?」
息子君に言われてびっくり。 あらあら私は素っ裸で寝てたのね?
ということはさっき、寝掛けに求められちゃったわけね? ああもう、、、。
どうせならさあ桜井君みたいな男の子に求められたかったなあ。 めちゃ欲求不満。
 「5年くらいやってないんですーーーーー。」って奥さんみたい。
狸は前触れ無しにやってくるからなあ。 遮りようが無いのよね。
鉄のパンツでも履いて寝るか? でもなんか重たそう。
 まあいいわ。 狸もまだまだ現役だったのね?
服を着ましてまた布団に潜り込みます。 お風呂は明日ねえ。

 そう言って寝たはいいけれど6時に目が覚めちゃいました。 それで朝からお風呂を沸かしてます。
(あの野郎、変な時間にやるから眠いじゃないのよ。) お風呂の中で寝そうな予感。
 体を洗っているとガラガラっとサッシが開きました。 振り向いたら息子君でしたわ。
思わず目が合ったので互いにびっくり。 でもまあいいか。
 息子君と二人で話しながらお風呂に入ってます。 たまにはいいなあ。
ってなんちゅう母親なのよ? 変。
 さてさて風呂上りに一杯。 ちゃうっての。
よく銭湯に行くとコーヒー牛乳を飲んでる人が居たわよねえ。 なんか冷たくて美味しかったなあ。
 フルーツ牛乳なんてのも有ったわよね? 何処に行ったんだろう?
なんかさあ、休みが休みじゃなかったから変なのよ あたし。 誰か慰めてよ。
 お惚けママさんたちは今も騒いでるのかなあ? 心配だな。
「食べ放題なんかに行ったらあんなもんじゃないんですよ。」 凛子さん 言ってたわよね。
 朝食を作って食べていたら電話が、、、。 (誰だろう?)
出てみたら澄江さんではないかいな。 「おはようございます。 どうしたんですか?」
 「今日さあ仕事が終わったら何人かで食べ放題に行くのよ。 美和子さんも来ない?」 「ああ、それはどうも。」
「じゃあ6時半に丸鷹の前でね。」 「はーい。」
 珍しいお誘いだ。 でもなあ、お惚けママが行ってるっていう店じゃない。
何か心配だなあ。 まあいいか。
 澄江さんのお誘いだもん。 断る理由は無いわよね。
狸も仕事で居ないし百合子は連れて行ってもいいかな? 息子君はバイトだもんねえ。
 どっかでウキウキしながら仕事に走り回ってます。 ルンルン気分ね。
3件目の家を出てスーパーの前を通ったらゴミ袋を抱えたママさんが、、、。
 「えーーーー? 捨てられないじゃない。 何でよ?」って怒ってる。 勝手にしてろや もう。
あんなのが居るから町がめちゃくちゃになるのよ。 取り敢えずは真面目?に生きてる私たちの身にもなってよね。
 スーパーの前を通り過ぎようとしたらママさんが声を掛けてきた。 「ねえねえ、ここさあ前は自由に捨てられたでしょう?」
「いやあ、私はここまで捨てには来ないから分かりません。」 「何を真面目ぶってんのよ? あんただって来てたでしょう?」
「人違いでしょう? 家庭ゴミは捨てるなって書いてあるんだし、、、。」 「あんたね? 捨てさせないようにしたのは?」
「は? 何で私がそんな面倒なことをするんですか?」 「あんたじゃないと誰がするのよ?」
 「お客さん ここはスーパーのゴミステーションですよ。 家庭ゴミはお持ち帰りください。」 店長が出てきた。
私は後を店長に任せて昼休みを、、、。 お腹空いたわよーーーー。
 何かごちゃごちゃ言い合ってるなあ。 あんなのがよくもまあママになれたこと、、、。
傍迷惑なママさんなら要らないわよねえ。 カー。
グッドタイミングなカラスの一鳴きに私は思わず笑ってしまった。
 でもさあ、ああいうママさんをおとなしくさせる方法って無いのかなあ? やっぱりご主人を使うしか無い?
でもさあ、そういうご主人ってたいていは役に立たないのよねえ。 奥さんには何も言えなくて、、、。
 曲がり角からじっと見ているんだけどまだやってるのね? 飽きないわねえ。
と思ったら誰か呼び付けたようね? 店長に仕返しでもするのかなあ?

 「こんな所に呼ぶなよ。 俺だって忙しいんだから。」 「頼みの綱はあなたしか居ないのよ。 お願い。」
(ああ、ママがゴマすりしてる。 気持ち悪いなあ。) 「で、用事って何だよ?」
 「ここにさあ家のゴミを捨てるなって言ってきた人が居るから、、、。」 「それって当たり前じゃん。」
「何言ってんの? ここのゴミ箱は何でもオッケーなのよ。」 「馬鹿じゃねえ? スーパーのゴミ箱に家のゴミを捨てる馬鹿が居るかよ。」
 (あれあれあれ? 雲行きが怪しくなってきたぞ。) 「でも前は良かったじゃない。」
「昔は昔。 今は今。」 男友達は呆気に取られたような顔でバイクのエンジンを吹かした。
「待ってよ! まだ話は、、、。」 ママが追い掛けるのも振り切って友達は何処かへ走り去っていった。
 (あらまあ、、、置いて行かれたのね? 可哀そうに。) 私も仕事の続きを、、、。
歩いていると交差点が有ります。 右に左に目を配り、、、と思ったら怒声が聞こえてきましたわ。
 (何だろう?) 右側に首を伸ばしてよーーーーーく見ると、、、。
白い杖を持った女の子がじいさんに怒られているようです。 何をやったんだろう?
 「てめえ、危ないんだよ。 そんな棒を振り回して歩くんじゃねえよ!」 はあ、白い杖を何かと勘違いしてるのね?
「何処まで行くの?」 「郵便局です。」
「こら、話は終わってないんだ。 邪魔するな!」 おじいさんは私に突っかかってきました。
 「話は後でいくらでも聞きますから、、、。」 「かっこ付けるな! ばばあ!」
「さあ、行きましょう。」 私が女の子の手を引きながら歩き始めると、、、。
そのおじいさんは杖で叩いてきました。 「じいさん 何やってんだよ?」
「うるせえ!」 通り掛かった宅配のお兄さんが飛んできておじいさんと口論を始めたようですねえ。 ほんとにさあ、みんな怒り過ぎ。
 郵便局まで女の子を送ると私は急いで次のお宅へ、、、。 ああ忙しい。
だいたいね、障碍者だとか健常者だとか言って分けてしまうから問題なのよ。 みんな日本人じゃない。
みんな人間じゃない。 ダメなの?
 そりゃさあ目が見えないとか耳が聞こえないとか不自由は有るでしょうよ。 でもみんなだって見えにくいとか聞こえにくいとかいう時が有るじゃない。
完璧に故障しない人間なんてこの世には居ないのよ。 何が起きるか分からないんだし。
 何がきっかけでそうなるか誰にも分からないの。 障害が無いから立派な人間じゃないのよ。
見えなくったって歩けなくったって聞こえなくったってきちんと生きてる人はたーーーーーーーーーーっくさん居るわよ。
 健常者って思い込んでるあなたたちのほうがよほどにだらしないわ。
ニートだ引き籠りだライン退職だって言ってるあなたたちは何? 障害を持ってる人たちにそんなんで顔向けできるの?
 偉いんだって思うんなら命懸けで仕事にぶつかりなさいよ。 自分にぶつかってみなさいよ。
そんな勇気なんてあなたに有る? 無いわよね?
 無いから退職代行を使って卑怯な辞め方をするんでしょう?
弱虫だからラインじゃないと辞めるって言えないんでしょう? 人間 やり直したほうがいいわね。