その日の夜、旦那様は余程に寂しかったのか、また私の布団に潜り込んできた。
しばらくは放置してたんだけど、寝てると思ったらしくて旦那様は私を裸にしてしまいました。 嫌ねえ、まったく。
 そんなわけで翌朝も眠くて眠くて、、、。 でも仕事を休むわけにはいきません。
9時からは4軒連続の外勤です。 まあね、30分は休めるからいいけどさあ、、、。
その途中、公子さんにばったり、、、。 「あらまあ、外勤ですか?」
「そうです。 これから武村さんのお宅に向かいます。」 「頑張ってね。」
愛想笑いをしてくるからこっちも一応は返す振りをして愛想笑いを振り撒きます。 笑っておかないと機嫌悪くするからねえ。
(こんな忙しい時に現れるなっつうの。 テンション下がるだろうが。) でもまあなんとか午前中の仕事は終わり。
公子さんへの託もお持ち帰り。 たぶん事務所には居ないから公子ペーパーに、、、。
と思ったら事務所に居るじゃないの。 何なのよ こいつ。
「あらあら、武井さん お帰りなさい。」 「あの、吉田さんからの託です。」
「何かしら?」 「次の料理は肉料理をお願いしたいって。」
「あらあら、若いのねえ。 魚料理が続いたから食べたくなったのかな?」 (あんたが魚にしろって言ったんでしょうが。)
でもまあ、こいつはそんなことを言ったってまた魚を出すんだろうなあ。 こっちはいい迷惑よ。

 昼からは3軒ほど、、、。 今日もよく動きますねえ。
ご褒美欲しいわ。 旦那様は要らないけどね。
 3軒といっても最後の仕事は午後6時。 夕食時に入ってるのよ。
早めに帰って夕食を作ってから出掛けるのね。 旦那様はうざいんだけどね。
 その旦那様は今日は何とか機嫌を直して会社へ出掛けて行きました。 何も無ければいいけどなあ。
あの人ね、私が可愛がってやった翌日はすごーーーーーーく頑張るのよ。
可愛がったって言ってもエ、ッ、チの相手をさせられるんだけど、、、。 何? 妻じゃしょうがない?
分かるんだけどさあ、あいつのエッチは我儘なのよ。 こうしろああしろってうるさくて。
たまには私の好きなようにさせてよ。 とか言いながら太郎君にもいいように弄ばれてるんだけど、、、。
私って何なのよ? 男のおもちゃじゃないぞーーーーーー。

 さてさて、休み時間を利用して家に帰ってきました。 ただ今、4時でございまあす。
寝っ転がってお菓子でも食べようかな。 あれあれ? 無いぞ。
「ごめんごめん。 私が食べちゃった。」 「何であんたなのよ?」
「お腹が空いちゃって、、、。」 「給食は?」
「パンダから足らなかったのよ。」 「いいわ。 買ってくる。」
 そんなわけでまたまた歩き回ることに、、、。 ちっとは休ませてくれ!
30分ほどして帰ってくると息子君が居ます。 「どうしたの?」
「バイト先で病人が出たから休みになっちゃってさ、、、。」 「旦那が居ないからいいけど、、、。」
「じゃあさあ、いいよね?」 「何々?」
不思議に思っていると息子君が思い切り絡んできたのです。 焦るわーーー。
 そんでもってバタバタとシャワーを浴び、夕食を作ってまたまた仕事へ、、、。
走り回り、歩き回り、息子君に愛されまくっていい加減に疲れてるんですけど、、、。 でも仕事は待ってはくれません。
夕食を作って話し相手になって帰ってきたらもう8時。 旦那様も帰ってきていて息子君と飲んでおります。
(今夜は何も無さそうだなあ。) 夕食を食べながら思い出すのは息子君のエ、ッ、チ。
だってさあ、回を重ねるごとに上手くなってきたのよ。 ニヤニヤしちゃうわ。
 「風呂入ろうか。」 そこへ旦那様がお誘いを、、、。
こんなことは滅多と有ることじゃございませんのよ。ウフフ、

 でもねでもね、お風呂を沸かすのは私なの。 てめえ、たまには動けや!
ほんとに仕事もまともに出来ないのに世話してやってる風の偉そうな顔するのはやめてほしいわ。 気持ち悪いんだからさ。
それにあんたが産ませてくれた子供たちも問題児ばっかだし、、、。 私の人生 どうしてくれるのよ?
なぬ? 三人目? 中村雅俊さんなら考えてやってもいいわよ。」
俺じゃダメかって? 出来損ないの狸の子供なんてもうたくさん、要らないわよ。
 さてさて、お風呂が沸いたことを部屋にまでお伝えに行きますと、、、。 「分かった。 先に入ってて。」だって。
じゃあ、先に入って体洗って出ちゃうからねえ。 たまには泣きべそくらいかかせるか。
そう思ってささっと体を洗ってゆっくり浸かっております。 30分ほど経っても旦那様は現れません。
(あの狸目、寝たんじゃないだろうな?) そう思いつつパジャマを着ていますと、、、。
「遅くなったねえ。 入ろうか。」ってやっと来ました。 「これ以上入ったら上せるからまた今度ね。」
ニコッと笑って私はさよならするのです。 勝手に沈んでろや。
 夜の廊下はこれまた怖いもんですよ。 だって裸電球が揺れてるんだもん。
これで平家物語なんてやられたら死んじゃうわよ。 ほんとに不気味なの。
風情が有っていいとは思うけどさあ、、、何でこんなオンボロな家に住んだのかねえ? 床抜けそうじゃない。
歩いていたら不気味な笑い声が、、、。 「誰誰誰?」
よーーーーーーく耳を澄ましてみると、、、「何だ あいつか。」 まったくもう、、、茹で上がったナマズの寝言みたいな笑い声はやめてよね。
300年寿命が縮まるでしょうがよ。 って私は何年生きるのよ?
 ああもう、早く寝たいわ。 時計は夜9時半。
大きな欠伸をしながら布団に潜り込むとスマホが、、、。 誰かと思ったら公子さんじゃないかいな。
「ああ、武井さん?」 「違いますけど、、、。」
「武井さんでしょう? 嘘吐かないの。」 「すいません。」
眠いんだからさっさと終わらせてよね。 ところがどっこい、公子さんはそれから明日の予定を話し始めました。
明日もまた6軒も回るものだから大変なんです。 3人は我儘でねえ。
うちの狸のほうがまだまだ楽かも。 仕事だから文句は言わないだけよ。
やっと電話が切れてさあお休み。 ママは今日も大変なのでした。

 翌日は旦那様も早めに仕事にいらして助かったわ。 これでのんびり朝食を、、、。
めんどくさいからサンドイッチにしたのよ。 齧り付いて飲み込んで終わりだあ。
あとはココアでさっと流し込んでっと、、、。 気合を入れてドアを開けたら車が、、、。
「おはようございまあす。」 (なななななななんで公子さんが?)
「近くまで一緒だから乗せていこうと思って、、、。」 「あ、あ、あ、あ、あ、あ、ありがとうございます。」
たまにはいいか、、、、って言っても公子さんじゃなあ。 なんでこいつなの?
うちの事業所ってまともな職員居ないよねえ。 「明日さあ、新人が入ってくるの。 よろしくねえ。」
「はいはいはい。」 「返事ははいでいいのよ。 武井さん。」
「こっちの予定を見てたもんですからね。 あはははは。」 「そっか。 熱心なのねえ。 頑張ってね。」
「6軒も行くもんですからねえ。 じゃあ行ってきます。」 車を降りたら振り返らずに猛ダッシュ!
「おはようございまあす!」 そう言いながらドアを開けて戦闘開始だあ。

 私ね、非常勤の外勤ヘルパーなのよ。 事務所でゆっくりなんてまずまず有り得ないなあ。
コーヒーでも飲ませてもらったら飛んで出ていくの。 次の仕事が有るからねえ。
ガイドヘルパーの人たちは出番が来るまで事務所に居るって言ってたなあ。
でも電話番とか事務の引継ぎとかいろいろやってるみたいね。 どっちがいいのかなあ?
 まあねえ、公子さんが絡んでこなければ平和なのよ。ウフフ、

 さてさて、今日も仕事が終わって我が家に帰ってきました。 なんか留守電が入ってる。
聞いてみると旦那様ですわ。 仕事が遅くなって帰れないんだそうで、、、。
時間外手当も出してもらえるんだから頑張ってきなさいよね ダーリン。
んでもって夕食の支度を、、、。 と思ったら娘ちゃんが泣きながら食堂に入ってきました。
「どうしたの?」 「振られちゃった。」
「またかいな。」 「そんな言い方は、、、。」
「ごめんごめん。 どうしたの?」 「彼女が出来たんだって。」
「しょうがないわよ。 あんたじゃ物足りなかったんでしょう?」 「んんんん、相手も女の子なのよ。」
「えーーーーー? あんたってもしかしてレズコン?」 「流行ってるのよ 今。」
「そんなの流行らせるなよ。」 「だって、、、。」
 ああもう、何でうちの家族は変なのが多いの? 親子恋愛にレズなんてどうかしてるわ。
 気を取り直してフライパンに向かいますが、、、。