「俺、別れ切り出されるかと思ってた」


私のことを抱きしめたまま、頭上でそんなことを言っている晃洋さん。
もしかして、不安なのは私だけじゃなかった?


「私の方こそ……別れを告げられるかもって、覚悟してました」

「そんなわけない。俺、こう見えて美優のことになると余裕ない」

「えぇ!? 全然そんな風に見えないですよ」


いつもは『なんでも余裕』みたいな雰囲気を醸し出しているけれど、実はそうじゃないのかも。

でも、余裕がないと思ってしまうくらい、私のことを好きでいてくれてるんだ。
そんなの嬉しくて、顔がにやける。


「もういい。この話は終わり!」


その言葉と同時に私の身体がふわりと宙に浮き、思わず「きゃっ」と声が漏れた。
お姫様抱っこで私のことをソファまで運ぶと、そのまま組み敷かれてしまう。


「今のうちに、いっぱい抱いておくから」

「えっ! それって……んっ」


言い終わる前に、私の唇を優しく塞いだ晃洋さん。
とろけるようなキスを何度も浴びさせられ、徐々に身体が熱くなっていく。

そうか。晃洋さんがアメリカに行ってしまったら……2年間はできないんだもんね。
こうして傍で触れることができるうちに、たくさん触れておきたい。

そう思った私も、晃洋さんにぎゅっとしがみついたーー。