オルの方が切り替えが早いのか、普通に会話をするつもりだけだと分かって、少し恥ずかしくなった。
 意識し過ぎて、私だけがそんなことばかり考えているのが情けない。

 未だかつて、両想いの恋人が居たことがない女は、これだから困る。
 私も頭の中を、満開見頃のお花畑から切り替えよう。



 魔法士が子供になるくらい大変な魔法を掛けられるのを、私如きが耐えられるのか、正直怖い。
 そんな危険が無いなら、伯父の前クレイトン伯爵夫妻が亡くなる前に戻るのは有り、かな。



「時戻しをやる必要性がないもの。
 オルのお陰で事故は回避できたのでしょう?
 10年後の私は貴方と幸せになれてると思うの。
 今の記憶のままなら、他の人なんて考えられないよ。
 私は絶対に、オルと結婚して、オルの才能を受け継ぐ子供を産んで……」


 
 今……10年後のオルとの幸せな未来を語りながら、胸に広がってきた、このモヤモヤとしたものは、一体何?