やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない

 特に今夜から明日の夜にかけて。
 何処にも出掛けないので、危ない。
 この部屋にふたりきりは、危険極まりない。
 私の貞操と理性は、彼の良心にかかっていた。




 夕食が終わって、ひとりで食器洗いを始めた私の後ろ姿を見つめているオルの視線が気になる。
 こんなことで、ぽわぽわ浮わついていたら、駄目だ。
 今日1日大変だったであろう領地の両親や皆に申し訳が立たない。
 手早く洗い物を済ませて、そういう雰囲気にならない内に寝室に引き取ろうとしたら、オルが声をかけてきた。


 ここにおいで、と言うように、立ったままの私に向かって。
 オルが自分が座る横を、軽く掌で叩いた。


 ……いや、これは、まずい。
 向かい側の肘掛け椅子に座って、距離を取った方が……
 横並びでカウチはまずいのでは……と思いながら、どきどきして隣に座る。


「本当に時戻し、したくない?」

「え……?」