そうだ、10年の時を超えたから、無理をしたシアはパピーになった。
 シアから言われて、初めて気付いた私は馬鹿だ。
 簡単に戻って、と言った私は馬鹿だ。


「ごめんなさい、そこまで考えなくて、悪かったわ。
 だけど、ちゃんと教えて欲しいから……」

「直ぐに怒っても、自分が悪いと思うと、直ぐに謝ってくれる。
 変わらないディナが大好きよ」


 謝った私に、シアが手を伸ばして来るので、これはまた抱きつかれるのではと思って、それは躱した。
 このひと、何でこんなに直ぐに抱きつくの?
 親友とは言え、おかしな距離感に戸惑う。
 私には恋人が居るんだよね?
 シアは……そんな関係じゃないよね?


「喧嘩していた奴に背後からぶつかられて、キャブを停めようとしていたディナは車の前に飛び出してしまって、事故に遭ったの。
 幸いにも、車は減速していたから、命に別状はなかったけれど、下半身を強く打って。
 それはディナの将来に……」