我が目を疑った。
 見たこともない全裸の女性が鏡の前で、自分の胸を軽く揉みながら腰をくねらせていた。


 目の前の状況に腰が抜けて床に座り込んで……
 訳が分からないとは、まさしくこのこと。
 ここは間違いなく、私の部屋だ。
 鍵を開けて入ってきたのだから。


 空き巣?
 服を盗もうとドレッシングルームに入り、着て帰ろうとして裸になってるの?

 悲鳴をあげかけて、慌てて自分の口を押さえた。
 女は私に気付いていない。
 このまま静かに離れてパピーを抱いて、祖父の邸に駆け込むんだ。

 もう、どうのこうの言ってる余裕はない。
 盗みに入った家で裸になっている空き巣なんて。
 いくらなんでも、これは私の手に余る状況で、祖父に助けて貰わないとどうしようもない。


 とにかく全裸だと言うのが不気味で怖くて、早く早くと四つん這い状態で後退りしかけて。
 何かに腰をぶつけて、大きな音をたててしまった。
 ぶつかった、あまりの痛さに悶絶していたら。



 胸部腹部臀部と順に、自分の身体を撫で回していた露出女が物音に気付いて、こちらを見てニヤリと笑った。

 しまった……あぁ、見つかってしまった!
 万事休す!