やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない

「……正解です」


 そして。
 私が年上のオルに抱き締めて貰うのも、今日が最後。


「あんなスピネルみたいな、あんな奴に捕まったのに、君は本当に気丈にがんばった」

 抱き締めながら、後頭部をポンポンしてくれる。



 大丈夫、絶対に帰る。
 そう、自分に言い聞かせた。

 馬車の前には、ヨエルが立っていて。
 あの赤い瞳でこちらをずっと見ていて、足がすくみそうになった。
 銀色の長い髪に赤く光る目をした、綺麗で残忍な蛇の様に見えた。
 逃げ出したかったけれど、そうしたら。
 あの場で全員やられてしまうのも分かったから。


 いつか、貴方に会える私は、絶対に死なない。
 死ねない。
 そう言い聞かせた。


「こんなところで絶対に死ねない、とは思った。
 貴方に、1年半口説いて貰うまでは死ねない、って」

「また1年半、俺から逃げ回るつもりか……」

「10年後に戻ったら、私はどうだった?
 単なる知人になっていて、また一から口説いてくれたの?」

「今の16歳の君が成長した君だから。
 事故にも遭わず、自分の夢を叶えていて。
 俺の夢も叶えてくれて」