「本当はオルシアナスじゃなくてオシアナス、ってことも?」

「リアンの名前を出してね、あれは……嬉しかった」

 今回はそんなに嬉しそうに見えなかったけれど、やはり喜んでくれてたのかな……


「それで調子に乗った俺は……帰る、って言った君に噛みついて。
 想像通り、本当に俺が吸血鬼だったら、君を仲間にして。
 君を……君とずっと一緒にいられたら、もう寂しくはないな、なんて。
 驚いた君が怯えたから、その時俺と会った記憶を君の中から消したんだ」


 私を仲間にしたら、もう寂しくない、と考えた当時10歳のオルが、とても哀しくて愛しくなる。

 怯えたりせずに、理由を聞いて。
『もうひとりじゃないよ』と抱き締めたかった。



「……10歳の貴方は魔法が使えたの?」

「ちょっとだけ……」

 既に魔力が発現していたから、直ぐに入学になったのね。
 生まれながらのエリート過ぎて……
 どうしてこんなひとが、私に?って思ってしまう。


 あのヨエルも、自分以上の逸材が私なんかに構うから腹が立ったのかも……