こんな馬鹿共と後3年も一緒に机を並べてなきゃいけないんだ、と。
 俺は自分の環境にうんざりしていた。



 そして16。
 目の色は赤いままだったが、髪色をよくある茶色に変えて初めて王立図書館へ行った。
 今度頼まれていた仕事のために、現場の地理を頭に入れておこう、と思って。


 魔法学院にだって、当然図書室はある。
 だが、外で頼まれた仕事の下調べを学院内でしたくなかった。
 前回、国外へ出てあいつらを燃やしたのは2年前。
 ギュンターの方から俺に会いに来ることはあっても、あの国へ行くのは初めてで、王都の周辺地図を調べたかった。

 だけどことが終わってから。
 俺があの国や発火術について、関連書籍を借りていたことがバレるかも、と毎日ヒヤヒヤしていたが。
 そう言うこともなく。
 無事、俺の年金は俺の口座に入ることになった。  




「大変、申し訳ありませんが。
 そちらの青い背表紙の、そうです、それです。
 取っていただけますか?」

「これですね? どうぞ」


 ガキはガキでも、女だ。
 女だけに見せる微笑みを浮かべて、俺はそのチビに取ってくれと頼まれた本を渡してやった。


「外国の地理、ですね。
 ご旅行へ行かれるんですか?」