「何処にだって……好きな時に?
 誰かに、頼まなくても……男性に甘えなくても、自分ひとりで……行ける……」

「お父様は喜ぶよ、学院では、女性だからと男性に遠慮は要らない、って貴女に言ったんでしょ?
 お父様は貴女が免許を取ることを、絶対に応援する」


 ◇◇◇


 翌日の朝、王都へ戻る私をモニカも見送ってくれる。
 もう、モニカは腕を絡ませたりしない。

 ぼちぼちと荷物を整理しながら遺言書を探す、と小さな声でわたしに囁いた。
 年末からのまとまった休みには、私も手伝うからね、急がなくてもいい、と伝えた。
 そして……


「これからは週末、日曜日に貴女に電話するから」

「えっ?」


 私が電話する、と言ったので、モニカは驚いていた。
 それを優しい目で見ていた母なのに。
 その口をついて出たのは、いつもの言葉だ。
 母娘揃っての貧乏性だから、言わずにはいられないの。


「一番のおすすめは、7時までの早朝よ。
 モニカは早起きしなくちゃ、ね」



 モニカは1年間4時半出勤の、3時半起床を続けたあざとい女だ。

 早起き出来るか、の心配は要らない。