「心配するな、あいつらがクレイトンに乗り込むまで、後3年ある。
 それに、お前の白魔法士の言葉を信じるなら、13年後にあいつらがどうなっているのかも知っている」

「それは、これからの……」

「これは有利にことが運べる。
 こちらが先手を打てるんだぞ?
 時代を無視して貴族を優遇する陛下に、腐りきった特権階級の現実を知っていただくいい機会だ。
 何しろ、13年後も私が無事に生き延びている、と教えてくれたのはジェリだ」

「私が時戻しをした時点では、です!
 経過が変わると、結果はどうなるか分からない、とオルは言っていました!
 じぃじが変わらずに生きていても、リアンのように身体が不自由になってるかも知れないし、ヒルデの実家のようにホテルや店が放火でもされたら?」
 


 あのシドニーが犯罪の片棒を担ぐなんて、信じたくない。
 私は何て人を見る目が無かったんだろう。
 あんな男に憧れていたなんて。


『避暑に行かせてくれないかな?』

『迷惑じゃなければ、ジェンの思い出話とか?
 案内しながら教えてよ』


 
 言われるままに、ノックスヒルに悪魔を招き入れたのは私だった。

 クレイトンをあんな状態にするのはモニカではなくて、私だった。