それ、オルのことじゃないよね? と言う前に。
 ベンは私とクララから離れて行ってしまった。
 そんなことを言った自分を恥じるかのように。


 私はどんな顔をしていたんだろう。
 また、彼に嫌な想いをさせてしまった。
 たかが、会えるのが延びただけだ。
 必ずオルと私は出会って、恋に落ちる。
 だから、だから、心配は要らない……


「お姉ちゃん、オルくんの知り合い?
 すごい泣きそうな顔してる」


 自覚していなかった。
 そんな顔していたの……


「ベンお兄ちゃんは焦ってる、って皆言ってるの。
 自分の家の子供にしたい人は、12歳くらいまでの子供を欲しがるんだって。
 13より大きな子を欲しがる人は、ろーどーりょく?
 家族にしたらお給金は要らないから、それが目当てで引き取るんだって。
 今日は10歳までの男の子で、黒い髪の子を欲しがっていたから、神父様がオルくんに決めて、送っていったの」


 10歳までの黒髪の男の子。
 少なくともそのお家は労働力として、オルを引き取りたいわけじゃない。
 髪色まで指定して、家族になろうとしているんだ。
 ベンが見せた嫉妬のような悲しみの理由が分かった。


 いつか会えると言ってくれた恋人の言葉を信じるしかないのに、和解してくれたベンを傷付けて、幼いクララにまで心配かけて。
 恥ずかしいのは、私の方だ。