シドニーに関しては、19歳になるまでに悪口ややっかみや数多くあったので、今更そんなことには動じない私だったが、一緒に居てくれるメリッサだけは、その標的にさせたくはなかった。


「学院内では一緒に居なくてもいいよ?」

「私が一緒に居たいから」


 ……前回もこの会話はあったと思う。
 違うのは、今回は本当に離れてくれてもいいよと思っているから。


 寮生活は居心地がいい。
 先輩方も同級生も、皆さん地方出身者で構成されている。
 学業第一だから、シドニーのことで何か言われたことはない。


 私に敵意を向けてくるのは、前回も今回も王都に家がある自宅通学組だ。
 彼女達からしたら、田舎者が! なんだろう。


 ……本当にこれだけは言いたい。
 今回の私はシドニー・ハイパーには近付きません!
 貴女達の王子様も、私のことなどその辺を飛んでいる羽虫以下だと思っていますよ!
 それに、私には心に決めたひとがいるんです!
 彼は今はどこに居るのか分からなくて、まだ10歳だけどね!



 たった3日一緒に居ただけで、一生ものの恋をした。

 オルが私を見つめてくれた瞳は……


 今回のシドニーが私(虫以下) に向ける、冷たい眼差しとは違う。