あぁ、あの頃は隣にシドニー・ハイパーが居たから、許されていたんだ、と。



 たかが、食堂のテーブルに座れなかったくらいで抵抗して、先輩方に目を付けられるのも、馬鹿馬鹿しいので。
『すみません』と、小さく謝って頭を下げて、そこから離れた。


 私を追っ払って気分がよさそうなゲインにはムカついたけれど、こいつがここに居るということは、近くにはシドニーが居るはず。
 時戻り直後の今は、あの顔を見たら、飛びかかりそうな気がするから、ここを静かに立ち去る方が賢明なように思えた。


 3年生エリアから離れると、私の動向を注視していたいくつもの視線も外されたようで、ホッとする。



 取り敢えず、何処かに座って、あまり食欲もないけれど、大人しくしていよう、と決める。
 今がランチタイムで、お昼休みなのは分かったけれど。
 今日が何月何日なのかも判明していない。


 それに……
 私はついさっき、運命の恋人と切ないお別れをしたばかり。
 少しはその余韻に浸りたい。
 そう思って、ひとりでゆっくり食べられる席を探した。



 そんな私に駆け寄って、声をかけてきた女の子が居た。


「何してるの!ジェラルディン・キャンベル!」