あんなに偉そうに宣言したのに、いざとなったら下らない話で引き伸ばす情けない私に。
 それが分かってて、付き合って会話を続けてくれるオルに胸が詰まる。


 暫く……貴方には会えない。


「私……」

 熱いものが込み上げてきて、話せなくなった私の頬をオルが撫でた。


「……私、泣いてないから」

「分かってる、触りたいだけ」

「私達が初めて会うのは、いつ?」

「うーん、それはお楽しみで教えない」

「やめてよ、いつ会うのか分からなかったら、毎日落ち着かない」

「それが狙いだ。 
 次に俺に会う時まで、毎日落ち着かなくて……ずっと、どきどきしてて」 


 私の魔法士は、やはり性格が悪かった。




「俺の名前を呼んで」

「……オル……オルシアナス・ヴィオン」


 オルが私の額に触れた。
 とうとう……そう思いながら、彼の名前を呼んで。
 金色の瞳を見つめ続けた。
 

「……時戻し、掛けるよ、また会おう」


 覚悟していたような衝撃はなく、ただ少し熱い様な空気に包まれたのを感じた。


 最後に。

『好きだよ、すごく好きだ』と、言ってくれたような気もするけれど。



 確証はない。