「言い訳に聞こえるかもしれないけど。
 俺が20歳のリアンと初めて会った時には、彼は既に新進気鋭の画家で。
『美し過ぎる車椅子に乗った天才画家』と呼ばれていた。
 俺はその姿は生まれながらのものだと思ってたから、まさか今日領地で襲われて、なんて思わなくて」

「あの子は幼い頃から画家になりたがってた。
 クレイトンから離れられて、その道に進めたのだから、人生を満喫していた、と貴方が言っていたのも納得出来る。
 あの子について、何か言い掛けていたのは?」

「……リアンはある大きな賞の優秀賞第一席を受賞して画壇デビューしたが、それを妬む奴も多かった。
 あの若さで、あの容姿で、あの身体だから、話題作りで受賞出来た、なんて……
 リアンを他人が語る時、まず車椅子のことから始まるから、最近のリアンは自分の才能を信じきれなくて、酒を過ごすことが増えた」

「24歳のリアンがお酒を……もう他には?
 10年後の私や家族について。
 聞いておくべきことはない?」


 オルが首を振ったので。
 私は立ち上がった……ようやく。