「君はまだ死ぬ、と決まっていない。
 そろそろ、と言われただけじゃないか!
 だから、俺は賭けることにした」


 

 ……今度こそ、私は無神経だと、オルに嫌われるかもしれない。
 だけど、彼の話を聞いて気付いてしまった。
 私はそう言うことが耳に残るタイプだから。


「……可能だと思われる新記録の10年前に時戻しをして。
 私の不妊かもという不安を取り除いて。
 自分の代わりに3年前に時戻しをさせて……
 という不確かなものに賭けることにしたの?」

「ディナ?」

「だって、私があくまでも拒否する可能性の方が高かったでしょ?
 貴方が言ったの、ディナは慎重だ、って!
 そんな確実性の無いものに、賭けた?
 私はさっき、何も隠さないで、と頼んだ。
 それなのに、全て話してくれないのはどうしてなの?
 貴方は何を隠してるの?」



 私が何を言わんとしているのか。
 気が付いたオルが、黙れ、と。
 その目が訴えている。


「貴方が黙っているなら、私が代わりに言い当てましょうか?
 貴方は魔法士の誓いを破ってまで!
 これから自分の命を懸けて、3年前に戻ろうとしてる、って!」