我慢できない、納得出来ない点を頭に思い浮かべた。
 哀しみよりも怒りが自分を動かす原動力になるから、腹が立つところを思い出すんだ。


 モニカとシドニーの婚約について、父や母から私にその知らせがなかった、ということは現在の保護者である両親に、モニカは何も言っていない、ということ。
 明日の帰郷は自分ひとりで、と嘘をついている可能性は高い。

 モニカとしては、あわてふためく簒奪者達のみっともない姿を、シドニーや侯爵ご夫妻に見せたかったのかもしれない。
 だけど、絶対に思い通りにはさせてあげないから。
 

 シドニーのご両親であるエドワーズ侯爵ご夫妻の突然のご訪問が、両親を驚愕させる前に、明日の朝一番に電話しよう。
 両親や伯爵家で働いてくれている皆が、ちゃんと物心両方の準備が出来るように。
 クレイトンに余計な連絡はしない、なんて言ったけれど、それを守る義務なんかない。


 私はモニカの邪魔をする女なのだ。

 貴女がシドニーにそう言って、怯えて見せたように。