「貴方がここに来るまでの17ヶ月。
 私はずっと病院に?」

「魔法庁の一室に、君の部屋を用意して貰った。
 俺が空いている時間、眠る君の側で過ごせるようにね。
 君との部屋は一旦解約して、いつ君が目覚めても良いように俺もそこで寝泊まりしている。
 じぃじには、君を独り占めするなと叱られたけれど、1日の仕事の終わりに、その日のことを君に聞いて貰うのは、それだけは俺の……
 どうしても譲れなくて……」


 やっぱり、さっきは泣いていたんだ。
 ふたりで楽しく料理を作った思い出が溢れた?


『君を失うかもしれない怖さは、骨身に染みてる』


 オルは1年5ヶ月、それをずっと抱えていた。
 子供のように、いきなり泣き崩れたオルの手を握りながら。


 オルがさっき言ったこと、その意味が。
 今、分かった。