「来月のモニカの成人をもって、彼女はクレイトン女伯爵となり、婿入りする婚約者シドニー・ハイパーの父であるセドリック・ハイパー・エドワーズ侯爵閣下が後見をする、と。
 現在伯爵家に勤務している使用人は総入れ替え、その新たな人選は侯爵家が行うそうです。
 使用人達の新しい勤務先について、モニカはこちらに丸投げして王都へ戻ろうとしましたが、ペイジ夫人がそれを許すはずもなく、紹介状には新旧伯爵両方のサインが必要だと全員の行く先が決まるまで、ノックスヒルに留め置かれることになりました」


 父ジョージ・キャンベルをキャンベル卿、母をペイジ夫人と呼んだわ。
 私は割りと、こういうのが耳に残るタイプだ。


 フィリップスさんはどちらかと言うと、父より母との関係が近いんだ。
 つまり、まだ母が結婚する前から知っているのかな。
 年齢差があるから、友人とは違うわね。


「ミスターフィリップスと母は、どういうご関係でしょうか?」

 ノックスヒルでもムーアでも、フィリップスさんに私は会ったことがない。
 純粋に、興味で尋ねただけ。