ブランケットが畳まれて、クッションが片付けられたカウチに私が座り、向かい側の肘掛け椅子にフィリップスさんが座った。
 オルはキッチンから動かない。
 


「改めまして、ご挨拶を。
 本日、キャンベル卿から譲位に関しまして手続き諸々の代理を一任されました、フィリップスです。
 先ず現伯爵ご夫妻が出された結論から申し上げます」


 フィリップスさんが切り出した。
 伯爵ご夫妻は喜んで、モニカにクレイトンを譲ると仰った、と。 
 

 それは昨夜オルから、10年後の話で聞いていた。
 私が特に動揺せずに、それを受けとめているので、フィリップスさんは少し驚かれたようだ。