もう、モニカと荷物を取りに来たのだろうか?
 日曜日なの、勘弁してよ。
 休みの日に襲来してくるのは、私に対する嫌がらせだと思った。
 ヒーローとヒロインは嫌がらせ行為なんて、してはいけないのに。
 オルだって居るのだ、追い返そうと思った。


 その時、ふと一昨日、シドニーから言われた言葉が甦ってきた。

『彼女は君達家族から早く離れるべきだ』


 ……私がモニカの持ち物に何かする、と思ったの?
 小説によくある、ドレスを破く、とか?


 バカバカしい!
 物損賠償金を請求されるような真似をするわけがない。
 現実はモニカの好きな恋愛小説とは違うのよ。
 自分の物が荒らされていないのを確認したら、荷物をまとめて、とっとと出ていきやがれ!だ。


 いきった気分の私は勢いよく、寝間着のまま部屋のドアを開けた。
 合鍵を渡しているモニカがそれを使わないのを、不思議とも思ってなかった。


 オルの存在は、頭の中から抜け落ちていた。
 てっきりモニカと、彼女の守るナイト気取りのシドニーの、ふたりの姿を想像していたのに。

 ジャガイモはひとりだった。