野いちご神社。
 鳥居が立っている。
 東条朝都、高瀬帳が並んで立っていた。後ろにチセ。
 朝都は一礼した。
 「さっすが、生徒会長だ」
 と、高瀬君。高瀬君は一礼した。チセも一礼した。
 朝都は鳥居をくぐった。そうして参道の左端によった。朝都は振り返った。
 「いいかあ、君ら、参道の左を歩くんだ」
 と、朝都。
 「へえ、でもなんで?」
 と、高瀬君。
 朝都は腕を組んだ。
 「ふっふっふっ」
 「参道の真ん中はなあ、正中といって神様の通り道なんだ、そこを避けて、左端を歩くのさ」
 「さすが、生徒会長!神社のプロなんだ!」
 と、高瀬君。
 朝都は目をつむってどや顔だ。
 「ふっふっふっ」
 「あ、いや、高瀬君、神社のプロって何?」
 チセがか細い声でいった。
 「じゃあ、行くぞ」
 朝都は、進んだ。そのあとを高瀬君が。そのあとをチセが続いた。手水についた。竜の形の水道から水が出ている。
 「いいかあ、右手で柄杓を持つんだ」
 と、朝都は言って、右手で柄杓を持った。そうして、水をくんだ。チセと高瀬君はじっと見た。
 「そうして左手を洗う、そのとき、水盤の中に水が戻らないようにするんだ」
 朝都は柄杓の水で左手を洗った。水盤に水が戻らないようにした。