あなたの霊を守ります 霊キャプター宮城の一日

 宮城はというとジョーの抵抗を受けて気絶していた。 白く掴みどころの無い泡のような世界の真ん中で。
気を失ってからどれくらいの時間が経ったのだろう? 何処からか宮城を呼ぶ声が聞こえてくる。
 「いつまで倒れてるんだ? 反撃の時が来たんだぞ。 いつまで倒れてるんだ?」 その声は宮城の意識の中で何度も呼び掛けてきた。
「この声は、、、?」 「さあ立ち上がるんだ。 宮城茂。 お前の反撃の時が来たんだ。」 「しかしこのままでは、、、。」
「大丈夫だ。 俺たちがお前には付いている。 羊舞の弱点も俺たちは分かっているんだ。」 「何だって? 羊舞の弱点が、、、?」
「そうだ。 俺たちの力をお前に捧げる。 さあ立ち上がるんだ。」 宮城はそっと目を開けた。
 そこにはジョーやアーシー、そしてスコットやキャシーの姿が見えていた。 「焦るな。 お前はまだシンクロワールドの中に居るんだ。 彼らにお前の姿は見えないしお前の声も聞こえない。」
「じゃあどうすれば?」 「今はまだ動かなくていい。 羊舞が念力を発した時にお前の念導力を発揮すればいいんだ。」
「それはいつだい?」 「俺たちにもそれは分からない。 気紛れな女だからな。」

 宮城が羊舞の動きを見張っていた頃、ニューデリーではキャプター同士が悲惨な殺し合いを始めていた。 「これでは手が出せない。 どうしたらいいんだ?」
インド軍でさえ手が出せないほどの悲惨な殺し合いである。 ある者は壁に埋められ、ある者は屋根に突き刺さった。
ある者は生きながらにして骨を焙りだされ、またある者は内臓を引き裂かれた。 国連もあまりの惨状に目を見開くしかなく打つ手が無いことを露呈してしまった。
 「これではキャプターの安全が保てない。 どうすればいいんだ?」 「全ては羊怪の仕業だよ。 それさえ封じることが出来たら、、、。」
「それは分かっている。 しかしそれをやるには宮城のような強力なキャプターが必要なんだ。」 「なんとかキャプターを集めなければ、、、。」
 「ようこそ。 キャプター諸君。 同士討ちが始まったようだね?」 「それで何をしたいんだ?」
「決まっているじゃないか。 君たちを殲滅するのさ。」 「そんなことはさせない。」
「ほう。 君たちに私を阻止する力が有ると思っているのかな?」 「必ず有るさ。 やってやるよ。」
「ではその日を楽しみに待っているよ。 さらば。」 羊怪は消えた。
 「このままでいいのか? アーシー。」 「私にもそれは分からん。 ただやらねばならんことだけは分かってるんだ。」
キャシーも苦しい顔で天井を仰いだ。 何をどうすればいいのか、誰にも分からないのである。
 その時、激しい雷鳴が轟いた。 「何だ?」
「分からない。 でも何かが起きる。」 アーシーが目を凝らした時だった。
 一筋の光が自分の元へ伸びてきた。 「何だこれは?」
「心配しなくていい。 過去のキャプターたちの魂だ。 今、彼らが洗礼を受けてお前たちの下へ降り立とうとしているのだ。」
「その声は?」 「私はカンザスフリージア。 1300年前に戦っていたキャプターの一人だ。 君たちの下へキャプターたちが集い始めたのだよ。」
「カンザス? いつだったか聞いたことが有る。 100万人の国民を守るために死んでいったキャプターが居たと。」 「過去のことはどうでもいい。 大事なのは今だよ。 スコット君。」
 「それはそうだがどうやって?」 「羊舞の念力の下で宮城茂は閉じ込められている。 今、古のキャプターたちが力を合わせようと動き始めている。 もう少し待ってくれ。」
その間にニューデリーは大混乱に陥ってしまった。 さらにはプラハでも。
 「いかん。 キャプター同士の殺戮が全世界に広がりつつある。 何とかして停めなければ、、、。」 「アーシー、それは無理だ。」
「なぜ?」 「これは羊怪が仕組んだ罠なんだよ。」
「罠?」 「そう。 君たちのようにバリアを張れたキャプターは逃れられたんだがバリアを張らなかったキャプターたちは皆殺しの殺戮を繰り返している。」
 「ロンドンとパリから応援を得ましたよ。 アーシー。」 ジョーがホッとした顔でアーシーを見た。
「このまま耐えていければいいんだが、、、。」