溺愛彼氏★失恋したらチャラ男が一途な本性を現しました

「ミ、ミ、ミ、ミユさん、どうかなさいましたか? 距離が近いんですけど……」

 片桐の腰に手を回しギュッとくっ付く。彼の鼓動に耳を澄ませ、タオルと同じ香りを目一杯吸い込む。

「敬語?」

「バカ! 言わせんな、動揺してるんだよ! いいから離れろ」

 言葉だけで無理にわたしを剥がそうとしない。

「濡れるの嫌?」

「嫌な訳ないじゃん。バスタオル代わりにされてもいいよ」

「わたしは片桐を代わりになんかしない、お試しもしない」

 すると片桐は躊躇いがちに抱き返してきて、髪を撫でてきた。

「髪、伸ばした方がいい?」

「どっちでも。ミユは長くても短くても可愛い」

「青山君にまた伸ばしてって、もう一度付き合わないかって言われたけど断った。片桐をいい加減な奴って悪口を言うからバカって言ってやったの。片桐はいい加減な人じゃない」

「ーーは? バカ? 青山に言ったのか? 学年トップだろ、あいつ」

「うん、でも一番のバカなのはわたし。ねぇ、まだ間に合うかな? 目の前の大事な事に気が付いたんだ」

「俺はミユなら取り返しのつかないバカでもいい。責任はとってやる。何に気付いた?」

 片桐がわたしの顔を覗き込み、頬へ触れる。

「わたし、片桐が好き」

 わたしらしく直球で飾らない本音を告げれば、片桐は笑ってくれた。

「俺も。俺もミユが好き。ずっとずっと好きだったよ」

 これまで色々な片桐の笑顔を見てきて、どれも本物だと思うけれど、気持ちが通じ合った瞬間に浮かべた笑顔は別格だった。