溺愛彼氏★失恋したらチャラ男が一途な本性を現しました

 片桐の匂いがするタオル、なんだか落ち着かないようで落ち着く。

「俺はミユに傷付けられた覚えは無ぇし、謝らなくていいよ。あぁ、ひょっとして青山に謝って来いとか言われたとか?」

 傷付いていないと言いつつ、こちらを見ようとしない。声音も何処か強張って低目だ。

「ううん、言われてない、よ」

「なら、なんでさ? 青山に告られたんでしょ? やり直そうと言われたんじゃない? ミユはなんでここに来た?」

「青山の気持ち、知ってたの?」

「はっ、知ってたなら早く教えて欲しかったか? そうすれば悩む時間が少なくて済んだのに?」

 片桐は眉間を揉み、かぶりを振る。

「ち、違う! わたしはもう」

 バッとわたしに身体ごと姿勢を向け、今にも泣いてしまいそうな揺れる瞳を突き付けた。

「俺だってミユが好きなんだ! 青山と付き合うお膳立てなんて本当はやりたくない! でもミユが幸せならいいと我慢してた!」

 ころり、手元の缶が滑り落ち、転がって片桐のスニーカーへぶつかる。

「……まだ、わたしを好きなの?」

「あぁ、好きだよ! 悪いかよ! 全然諦められねぇ上に、どんどん好きになっちまう! ずっとミユに片思いしてるわ!」

 噛み付くような感情の吐露に、自然と涙が溢れ、体当たりで伝えられた好意で胸がドキドキした。雨にさらされた全身が一気に熱くなる。

「わ、うわ! 泣くなよ! 俺にこんな風に想われるのはキモいよな? 分かってる、分かってる」

 わたしの泣き顔に片桐は我に返り、フォローを始める。カフェオレを拾おうとした指先が後悔で震えていたのをみ、彼へ抱きつく。