【ショート・ショート】『雨の日の出来事』


 いつもは自分の傘も持っていたのだが、ついつい忘れてしまった。
 外は雨。手元には彼女の傘一本。駐車場まで少し遠い。
 すると背後から声が掛かった。
「薫君、使わないなら貸してくれないかな」
 彼女だった。振り返ると笑顔が待っていた。
「どうせだから車で送りますよ」
 今度は二人、並んで外へと出て行った━……。