仕事が終わった。朝都はビーチへあがった。まだ日は高く、暑苦しかった。朝都は海水パンツ一丁で、砂浜に座った。砂浜は熱かった。朝都は海を眺めた。海は凪いでいた。海から心地よい風が吹き付ける。
 「東条君」
 見ると、ユキだった。水着だった。色白で汗をかいていて、肌が日に照らされて美しく光っていた。青春の香りがした。
 「お、大川さん」
 朝都は赤くなった。
 「ここ、いい?」
 と、ユキ。
 えー。
 「あ、ああ」
 朝都はどきどきした。
 ユキは朝都の右となりに座った。青春の香りがした。
 朝都は海を見ていた。どきどきした。ユキは海を見た。ユキは朝都を見た。
 「東条君、よく海くるんだあ」
 「え、なんで?」
 「だって、体よく日焼けしてるから」
 「あ、ああ、そうか。うん、よく来るんだ」
 「海、好きなんだ?」
 「ま、まあ」
 「そうなんだあ」