○千華の家の前(一軒家)

千華「送ってくれてありがとう、御厨くん」
真尋「いえ、気にしないでください。如月さんのお家も見れましたし」

 「ここが、如月さんが毎日過ごしているお家……」と、二階建ての家を見上げた真尋。

千華「別に普通の家だと思うけど……」
真尋「やっぱり二階建てがいいですか? そもそも、一軒家派かマンション派か教えてもらっても?」
千華「え、いま将来設計をしてる?」
真尋「そんな。気がはやいですよ、如月さん」

 照れたように言う真尋に、千華は「それは御厨くんの方!」と言いバタンッと家に入る。

 閉められた玄関を真尋が見つめていると、カチャッと少しだけ開いて千華が顔を覗かせた。

千華「……またね、御厨くん」

 唇を尖らせて不服そうに言う千華に、真尋はクスりと笑い手を振る。

真尋「また明日。如月さん」

 小さく手を振りかえし、扉を閉めようとしたら「あ、待ってください」と聞こえて、千華は再び真尋へ視線を向ける。
 至って真剣な顔の真尋。
 けれど、次に聞こえたセリフは違った。

真尋「子供は何人欲しいタイプですか──」

 ──バタンッ!!
 と、勢いよく閉められた玄関。

 家の中では、玄関扉に背を預け顔を真っ赤にしている千華。

千華(何言ってるのあの人は!!)

 ふがーと鼻息が荒い千華。

真尋『……如月さん』

 扉越しに真尋の声が聞こえる。
 玄関扉に背を預けているため、すぐ後ろで声がするような感覚に息を呑む千華。

真尋『俺は、如月さんとなら……「何人でも」』

 千華には見えていないが、妖しげな色っぽい笑みを浮かべた真尋はそうのたまう。

千華(〜〜〜〜!!)
千華「へ、変態!!」

 玄関扉に向かってそう叫ぶと、千華はドタバタ音を立てながら自分の部屋と向かった。


○千華の部屋。可愛らしい小物が多い

 部屋に入り、ずるずると座り込む千華。
 これでもかと真っ赤な顔の千華。

千華(……御厨くんのバカッ!)