○放課後 屋上へ続く階段、最上段。
ここは、人が来る事がめったにない。
千華と真尋は、並んで座っていた。
真尋「さぁ、どうぞ話してください如月さん」
千華「ねぇここに来る必要あったかな」
真尋「大ありです」
納得がいかないような顔をしつつ、千華は玲那とのやり取りを真尋に話す。
千華「──でね、はじめて女の子の友達が出来たんだ」
真尋「俺がいない間にそんな事が」
真尋「よかったですね、如月さん。お祝いに、キスしてもいいですか?」
千華「……え?」
理解が遅れた千華を置き去りにし、真尋は顔を近づけてくる。
とっさに真尋の口を手で塞ぎ、押し戻そうとする千華。
千華「ちょっと、駄目に決まってるでしょっ、御厨く──」
屋上へと続く階段を誰かが上ってきた。
パチリとその人と目が合う千華。
上ってきたのは、九条樹だ。
樹:シルバーの髪で、襟足が少し長い。黒の小ぶりなフープピアスを両耳につけている。
固まる千華と、目を見開いた樹。
先に正気に戻った樹は、スッと真尋へと視線を移す。樹と真尋の視線がぶつかった。
真尋は見下ろすように冷たい視線を。
樹は、キッと睨むような視線を。
先に視線を外したのは樹。
チッ、と舌打ちをしてから、眉を寄せ顔を歪めた。
樹「不潔」
そう言い残し、階段を下っていく樹。
千華(は、い?)
ぽかんとした千華は、沸々と言い得ぬ感情がわいてきた。
千華(──いきなりなんなのっ、あの人!!)
眉を寄せグルグルと考える千華。
真尋「如月さん」
千華(確かに見る人が見れば、勘違いしそうな場面だったかもしれないけど初対面で)
真尋「如月さん」
千華(『不潔』はなくない? 事情も知らないで!)
真尋「──如月さん」
千華の手の拘束を解き、何度も呼びかけているのに、一向に自分の声が届かない真尋は、一際低い声を出した。
流石に気づいた千華は、真尋へと顔を向ける、と同時に、視界いっぱいに真尋の顔が広がった。
ちゅっとリップ音を立てながら、千華の左頬へとキスをしたからだ。
大きく目を見開く千華。
千華「……!?」
千華(いっいま何を……!?)
真尋「やっと俺を見ましたね」
若干ムスッとしながら千華を見る真尋。
理解が追いつかない千華は「ご、ごめんね」と謝るが、頭の中はまだプチパニックだ。そんな千華を見て目を細めた真尋。
真尋「──正直俺は、如月さん以外からの評価なんて気にしません」
唐突な宣言に、目をパチクリさせた千華。
千華「そ、それもどうかと思うけど……」
真尋「でも、如月さんも『不潔』と称するあの男は、この手で抹殺したいと思いました」
千華「抹殺は駄目だよ御厨くん」
真尋「すみません、間違えました」
千華「だよね、よかっ──」
真尋「捕まりたくはないので、『間接的に』抹殺した方がいいですよね」
千華「それも駄目だからね!?」
真尋「そんな」
しょぼくれる真尋。
千華は「めっ」と子供に言うように、真尋の唇に人差し指を向ける
千華「抹消するなんて言っちゃ駄目、わかった?」
真尋「……!」
千華(────ん?)
(わ、私御厨くんに何してるの?)
我にかえり恥ずかしくなった千華は、慌てて指を引っ込めようとしたが、それよりもはやく真尋が行動に出た。
ぱくり、と千華の人差し指を咥えたのだ。
千華の顔が驚愕に染まる。
ここは、人が来る事がめったにない。
千華と真尋は、並んで座っていた。
真尋「さぁ、どうぞ話してください如月さん」
千華「ねぇここに来る必要あったかな」
真尋「大ありです」
納得がいかないような顔をしつつ、千華は玲那とのやり取りを真尋に話す。
千華「──でね、はじめて女の子の友達が出来たんだ」
真尋「俺がいない間にそんな事が」
真尋「よかったですね、如月さん。お祝いに、キスしてもいいですか?」
千華「……え?」
理解が遅れた千華を置き去りにし、真尋は顔を近づけてくる。
とっさに真尋の口を手で塞ぎ、押し戻そうとする千華。
千華「ちょっと、駄目に決まってるでしょっ、御厨く──」
屋上へと続く階段を誰かが上ってきた。
パチリとその人と目が合う千華。
上ってきたのは、九条樹だ。
樹:シルバーの髪で、襟足が少し長い。黒の小ぶりなフープピアスを両耳につけている。
固まる千華と、目を見開いた樹。
先に正気に戻った樹は、スッと真尋へと視線を移す。樹と真尋の視線がぶつかった。
真尋は見下ろすように冷たい視線を。
樹は、キッと睨むような視線を。
先に視線を外したのは樹。
チッ、と舌打ちをしてから、眉を寄せ顔を歪めた。
樹「不潔」
そう言い残し、階段を下っていく樹。
千華(は、い?)
ぽかんとした千華は、沸々と言い得ぬ感情がわいてきた。
千華(──いきなりなんなのっ、あの人!!)
眉を寄せグルグルと考える千華。
真尋「如月さん」
千華(確かに見る人が見れば、勘違いしそうな場面だったかもしれないけど初対面で)
真尋「如月さん」
千華(『不潔』はなくない? 事情も知らないで!)
真尋「──如月さん」
千華の手の拘束を解き、何度も呼びかけているのに、一向に自分の声が届かない真尋は、一際低い声を出した。
流石に気づいた千華は、真尋へと顔を向ける、と同時に、視界いっぱいに真尋の顔が広がった。
ちゅっとリップ音を立てながら、千華の左頬へとキスをしたからだ。
大きく目を見開く千華。
千華「……!?」
千華(いっいま何を……!?)
真尋「やっと俺を見ましたね」
若干ムスッとしながら千華を見る真尋。
理解が追いつかない千華は「ご、ごめんね」と謝るが、頭の中はまだプチパニックだ。そんな千華を見て目を細めた真尋。
真尋「──正直俺は、如月さん以外からの評価なんて気にしません」
唐突な宣言に、目をパチクリさせた千華。
千華「そ、それもどうかと思うけど……」
真尋「でも、如月さんも『不潔』と称するあの男は、この手で抹殺したいと思いました」
千華「抹殺は駄目だよ御厨くん」
真尋「すみません、間違えました」
千華「だよね、よかっ──」
真尋「捕まりたくはないので、『間接的に』抹殺した方がいいですよね」
千華「それも駄目だからね!?」
真尋「そんな」
しょぼくれる真尋。
千華は「めっ」と子供に言うように、真尋の唇に人差し指を向ける
千華「抹消するなんて言っちゃ駄目、わかった?」
真尋「……!」
千華(────ん?)
(わ、私御厨くんに何してるの?)
我にかえり恥ずかしくなった千華は、慌てて指を引っ込めようとしたが、それよりもはやく真尋が行動に出た。
ぱくり、と千華の人差し指を咥えたのだ。
千華の顔が驚愕に染まる。



