どうしてだろう。


無性に懐かしいような感覚に襲われた。


そんなわけないのに。



「変、だな…」



やっぱり所詮、夢は夢でしかない。


現実とは全く違うのだ。


それでも、何故だか気になる。



理由は分からなかった。


ただ、知らないといけないような気がした。



* * *



『私立明央(めいおう)高等学園』



広大な敷地を誇り、生徒数は2000人をゆうに超える全寮制の名門校。


私が通っているのはそんなところ。


入ることに抵抗はなかった。



元々親とも疎遠だったし、家にいても、いないのと変わらない。


愛なんてなかったから、今更親が恋しくなるなんてこともないんだけども。



邪魔くさい、無駄に長い髪を後ろに流して校舎内の中庭を足早に進む。


急がないと非常に面倒くさいことになりかねないのだ。