「――…から言ったんだけど」


「仕方……い、だろう」



誰の声、だろうか。


うっすら目を開ける。


床に寝かされた私の前には、噂の王子と相方の逢知利央。



ここで私は、何を……?


どれくらい時間が経っているか分からない。



「お前の“仕方ない”には漏れがあるんだっての」


「あれを飲むくらいなら俺は人間を貪り食らっても構わない」


「ワガママも大概にしろ馬鹿王子め」



覚醒したばかりの私の前で、この2人の会話が騒々しい口喧嘩に発展していく。



私は、気絶していたのか、眠っていたのか。


その辺の記憶は定かじゃないけれど、先ほどの出来事はしっかりと頭に残っている。


ついでに、首筋の痛みも。


そっと起き上がると、真っ先に私の存在に気付いた逢知利央。



「ぅ、おっ……起きてた…」