春色ドロップス

 電車を降りていつもの道を歩く。 そして彩葉の家へ、、、。
チャイムを押す。 「はーーーあーーーーい。」
 一階に居たのか、彩葉の声が聞こえた。 「こんちは。」
「健太君。」 「今日も寄ってみた。」
「ありがとう。」 「それでさあ、折原さんから、、、。」
「まあまあそれより上がってよ。」 ぼくが話し始めたのを停めて彩葉が階段を上がっていった。
 部屋に入ると彩葉はいつもより楽しそうにしている。 折原さんからメールが届いたんだって。
 「それでさあ、健太君に本を渡したからって言われたんだ。」 「そうそう。 この本だよ。」
「へえ。 何かほんとに面白そうな小説みたいね。」 「ちょっと読んでみたんだけど面白い話だよ。」
「そうか。 楽しみだなあ。」 「勉強のほうはどう?」
「まあまあかなあ。 進まなくて、、、。」 「ミナッチも協力するから言ってねって言ってたよ。」
「ミナッチ?」 「うん。 折原さんの向かいに座ってた先生。」
「ああ、あの小さい先生ね。」 「そうそう。」
(でもさあ、彩葉だって小さいじゃん。) まあそれは言わないことにしよう。
 「健太君、一緒にご飯食べて行かない?」 お母さんが入ってきた。
「いいんですか?」 「昔からの友達なんだし毎日寄ってくれてるんだからいいでしょう?」
「それじゃあ、、、。」 というわけで今夜は彩葉と一緒に夕食を食べることになった。
 「昨日はつかさちゃんたちも集まってくれたんだって?」 「そうですよ。 あいつらもずっと彩葉のことを心配してくれてたから。」
「そうなんだって。 食事会を考えてくれたのって勉君だったんだって。」 「そっか。 じゃあみんな来てくれるわよね?」
「そうだなあ。」 「gwが終わったらみんなでうちに来てくれるかな?」 「何で?」
「あらやだ。 十日は彩葉の誕生日じゃない。」 「そっか。 忘れる所だった。」
「それでさあ、高校のお祝いもかねて誕生会をやろうと思うのよ。」 「それはいいですね。 また話しておきます。」
「お願いね。 また集まってくれたら嬉しいなあ。」 お母さんはそう言いながらシチューを食べていた。

 彩葉の家を出るといつものようにコンビニに寄ってから家に帰る。 どうも缶コーヒーを飲みながら帰るのに慣れちゃって、、、。

 『十日にさあ、彩葉の誕生会をやるって言ってるけど来れるかな?』


まずは折原さんに聞いてみる。 どんな返事が来るのかなあ?

 『誕生会だって? 何処でやるの?』

 しばらくしてなぜかつかさから返事が来た。 (何でつかさ?)

 『折原さんからメールが回ってきたのよ。 彩葉の誕生会だって?』

 『そうなんだ。 高校にも入ったことだしここで思い切って誕生会をやろうって。』

 『そっか。 勉とも話してみるね。』

 「えーーーーーーー? こないだ集まったばっかりじゃん。」なんて言ってきそうで怖かったけどまあ一安心。 明日、ミナッチにも話してみようかな。
そんなことを考えながら家のドアを開ける。 母ちゃんたちは夕食を済ませていて居間は静かになってる。 ぼくも自分の部屋へ、、、。
 「健太ーーーーーー。 お風呂空いたぞーーーーーー。」 いつものように母ちゃんの大きな声が聞こえた。
それでもっていつものように脱衣所へ、、、。 そこに歯を磨きに来た郁子が居た。
「ワーーーーー、お兄ちゃん 私の前で裸になっちゃったあ。」 「何騒いでんだよ? 馬鹿だなあ。」
「兄ちゃんより頭いいもん。 馬鹿じゃないもん。」 「じゃあ4+2+10-5は幾つだ?」
「えーーーーーっと、えっとえっとえっと、、、。」 郁子が考えている間にぼくは浴室へ、、、。
 湯をかぶって天井を見上げる。 やっと高校生になったんだ。
彩葉が居たら毎日もっと楽しかったんだろうなあ。 折原さんとも毎日お喋りが絶えないんだろうから。
 昨日もずっと話してたみたいだしね。 二人とも読書が好きなんだよなあ。
彩葉はこれからどうするんだろう? 外に出なくてもいい仕事をするのかな?
 となるとさあ、夜の仕事かな? 大変そうだなあ。
夜の仕事なんて言っても何が有るんだろう? 道路工事とか?
いやいや、いくら何でもそれは無理だよ。 あの体じゃあやってけない。
 じゃあ小説家かな? それはいいかもしれないなあ。
ってぼくが勝手に決めてどうするんだよ? ほんとに彩葉が選ぶかどうか分からないじゃないか。
 体を洗って浴室を出る。 郁子はもう部屋に戻っているらしい。
(さて寝るか。) そう思いながらぼくも布団に、、、。